日和山公園内の鳥居解体へ 早ければ今月中にも工事着手
石巻市の日和山公園内にある鹿島御児神社の鳥居が、早ければ今月中にも解体工事に入る方向であることが12日までに分かった。2月からの度重なる地震でひび割れや破損などが進み、今月1日の震度5強の地震後、倒壊の恐れがあるため、公園を管理する市が規制線を張って近付かないように呼び掛けている。東日本大震災に耐え抜き、石巻市のランドマークを担う鳥居は、築86年の経年劣化もあってついに役目を終える。
鹿島御児神社・15日に正式決定
鳥居は昭和10年に建立された高さ約6メートルの鉄筋コンクリート製。一帯は、鳥居越しに太平洋を望める石巻市を代表する名所として知られる。東日本大震災の発生直後には、多くの地域住民が避難するなど命をつないだ場所でもある。老朽化のため震災前から建て替えの計画があったが、大災害で立ち消えになっていた。
度重なる地震で被害を受け、規制線で囲われた鳥居
今年に入って2月13日の震度6弱、3月20日の震度5強、そして5月1日の震度5強と大きな地震が頻発。鳥居にひび割れが見られたほか、一部でコンクリートが剥がれ落ちるなどした。
黄金週間明けに市内の建設会社が専門家と調査した結果、鳥居の脚の部分にゆがみがあることが分かった。同神社禰宜(ねぎ)の窪木好文さん(49)は「今までよくもってくれたが、次に大きな地震が来たらどうなるか分からない。万が一、人がけがをするようなことになったら取り返しがつかない」と表情を曇らせた。
15日には例大祭があり、神社の役員ら関係者が集まる席で現状を報告。解体やむなしとの判断が下されそうだ。
鳥居には亀裂や破損が見られる
一刻も早い危険回避のためにも正式決定を経て、早ければ今月中にも解体工事に着手することになる。新たな鳥居の建立は白紙状態。同神社では平成30年に社務所、令和元年に本堂を大規模改修したばかりで、資金繰りが大きな課題となる。
窪木さんは「鳥居再建は材料や工法も決まっていないので、いくらかかるかも分からない。資金集めに関しては県外から申し出もあるが、クラウドファンディングを含めてこれから考えないと」と話していた。【本庄雅之】
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