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特別展や展示更新で対応 震災伝承館は宮城の拠点

 年が明け、春の息吹が感じられるころには東日本大震災から丸11年が見えてくる。コロナ禍で復興課題も陰に隠れがちだが、しっかり向き合い続けなければ記憶の風化も加速する。そんな危機感も抱く。昨秋、5選を果たした村井嘉浩知事はポスト復興、コロナ対策を含めた諸課題にどう臨むのか。5期目最初の年が幕を開けた。(5回続き=聞き手・外処健一報道部長)

―これまでの4期16年を振り返ると。
 
震災復興関連では災害公営住宅が平成31年3月に全戸完成したほか、同年4月には気仙沼本土と離島の大島を結ぶ気仙沼大橋が開通した。令和元年6月にみやぎ県北高速幹線道路の築館工区(1.7キロ)が開通、3年6月には石巻南浜津波復興祈念公園内に、みやぎ東日本大震災津波伝承館が開館し、復興に向けた取り組みが順調に進んだ。

 また、新ブランド米である「だて正夢」が本格デビューし、東京五輪・パラリンピック大会、石巻市を主会場とした全国豊かな海づくり大会(令和3年10月)の開催もあり、充実した4年間だった。

―津波伝承館は一部で「物足りない」との声も聞く。評判をどう受け止めるか。
 開館以来、3万人以上の方に観覧いただいている。来館者を対象としたアンケート調査では、回答者のうち8割から施設に満足との評価をいただいている一方、「リアルな展示がほしい」「伝承館周辺(公園全体)の展示があるとよい」など展示の拡充を求める意見も聞かれる。今後は館内の多目的スペースにおける特別企画での展示や展示更新などで対応を検討したい。

復興課題のインタビューに答える村井知事

―震災伝承の進め方は。
 震災と同じ被害や悲しみを二度と繰り返さないためにも、本年度策定した「東日本大震災の記憶・教訓の伝承に関する基本方針」に基づき、伝承館を宮城の震災伝承拠点と位置付け、県内施設、伝承団体と連携していく。

―5期目の決意と重点施策には何を掲げるのか。
 昨秋の知事選では県民の皆様から5期目の重責を託していただいたので、選挙の際に政策集として示したものを一つ一つ実現できるように最大限努力していく。特に子ども・子育て分野に力を入れたいと考えており、安定的な財源確保のための基金創設や不妊に悩む方々への支援などに取り組む。

―石巻地方の課題と対策は。
 今後、県全体で人口減少が進み、地域活力の低下も懸念されている。特に仙台圏域以外での人口減少率が高くなることが想定されている。民間活力を最大限生かし、人口減少にも対応できる小さな行政体を作っていくことが重要だ。

 震災の記憶と教訓の伝承は、震災遺構や伝承サポーターと連携しながら国内外への発信に努めていく。情報通信技術(ICT)など先端技術を活用したスマート水産業を推進するほか、輸出体制の強化で販路拡大に取り組んでいく。地域が持つ固有の資源や機能を維持、発展させることで県全体の活性化につなげたい。


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