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「三陸道全線開通」 ④展望 IC近接地に可能性

 仙台河川国道事務所の資料によると、石巻地方から北の気仙沼市にかけた三陸沿岸エリアでは、東日本大震災後の新規立地企業の8割が、三陸道(三陸沿岸道路)のインターチェンジ(IC)から5キロ圏内にある。一方、石巻女川ICから近いセイホクパーク石巻(石巻市総合運動公園)では県内、東北から集まるスポーツの大会が増加。将来を展望した時、IC近接地には大きな可能性がある。

 震災後、石巻市須江には移転を余儀なくなされた企業向けの産業用地が完成。東松島市では、大曲浜の集団移転跡地がみそら工業団地となった。いずれも石巻港ICの5キロ圏内で、ほとんどが分譲済みだ。ICに近い既存の工業団地も、安心を求める企業の立地が進んだ。

 昨年4月に就任した石巻市の齋藤正美市長は、雇用対策として桃生豊里IC周辺への企業誘致による産業団地の形成を公約の一つとして掲げた。周辺は道の駅を設置する構想があったが、白紙となった経緯がある。石巻地方でIC周辺が開発されていないのは桃生地区だけで、最後のフロンティアになるのか注目される。

4車線化は利便性が高い(河北IC近く)

 三陸道は桃生豊里から北が基本、2車線で最高速度70―80キロ、南は4車線で一部を除き100キロ。震災後、延伸とともに4車線化が進められた。所要時間の短縮がさらに図られ、高速バスの利便性も向上した。

 4車線の利府塩釜―利府中の平日は53%が業務、26%が通勤・通学に利用されているデータもあり、4車線化は産業だけでなく、転出を抑える効果もありそうだ。齋藤市長は「完成して終わりではなく、所要時間がより正確になるよう、(桃生豊里から先の)4車線化も要望していく必要がある」と考えている。

 定住人口が減る地方では交流人口の拡大が大きなテーマ。その中でスポーツや文化の役割も大事だ。

 セイホクパーク内の市民球場では昨年、夏の高校野球宮城県大会の主会場になった。近くには大ホールや博物館などの複合文化施設マルホンまきあーとテラスが開館。決勝と企画展示が重なった際は渋滞も起きた。

 どこで大会をするかは各競技団体が決め、各地持ち回り開催の例も多い。しかし、ICに近く、広い無料駐車場と備え、仙台市内に比べて施設利用料が安い石巻は関係者に好評だ。

 球場やフットボール場、トレーニングセンターなどを備えた同パークは、平成30年に南側へ拡大。遊具が豊富なこども広場も三陸道経由で市外からの来場がある。ほかに陸上競技場建設の構想もあり、大会だけでなく東京五輪での受け入れを実績として合宿地としての期待が高まる。【熊谷利勝】



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