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堤防機能持つ県道整備 防災上乗せで交通強化

石巻市魚町

 石巻市は言わずと知れた水産のまち。魚市場の背後地で、水産加工所が集積する同市魚町も、東日本大震災の津波で甚大な被害を受けた。【山口紘史】

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木の屋石巻水産の巨大タンクが横たわり、津波の威力を物語った(平成23年3月29日)

 津波の威力をまざまざと伝えたのは、魚町の水産加工会社「木の屋石巻水産」が所有していた高さ11メートルの鉄製タンク。「鯨大和煮の缶詰」が描かれ、魚油の貯蔵用に使われていたが、津波によって約300メートル北の県道まで流された。被災の象徴として保存も検討されたが、住民の心情に配慮し、平成24年に解体撤去された。

 県道はその後、堤防機能を持たせた都市計画道路(門脇流留線魚町工区)として整備に着手。日和大橋から魚町三丁目の国道398号交差点までの2.6キロ(2車線、幅員11メートル)で、かさ上げ高は3―3.5メートル。今年9月に完成し、復興の後押しとなった。

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県道は盛り土整備され、防潮堤機能を持つ都市計画道として活用(令和2年9月28日)

 石巻魚市場も荷さばき施設が全壊し、岸壁は1メートル近く地盤沈下した。市場は平成23年7月に仮施設で水揚げを再開し、25年から改修工事に着手。27年9月には全面再開にこぎ着けた。

 港に面した建物の長さは震災前と比べて1.4倍の約880メートルとなり、直線距離で「東洋一」。海外輸出を見据えた高度衛生管理体制も整えた。世界に誇れる魚市場の完成は地域の明るい話題として広がり、石巻市の産業復興を象徴するニュースとなった。

 また市は津波から命を守るため、魚町にある官民施設3カ所を避難ビルに指定し、2カ所に避難タワーを整備した。海の近くでも安心して働ける環境を整え、水産業の復興加速につなげた。


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