
世界的奏者・日野皓正さん 住吉中にトランペット寄贈
ルーツの石巻で迫力ライブ
ジャズトランぺッターの日野皓正さん(81)が21日、マルホンまきあーとテラスで昨年に続き、クインテット(5人編成)で熱いライブを披露した。サプライズで石巻市立住吉中学校の吹奏楽部に対するトランペット贈呈式があり、会場は大盛り上がり。ライブの最後には、客席からファンら約20人がステージに駆け上がり、日野さんのルーツである石巻ならではの大フィナーレとなった。
腕利きの若いメンバーを引き連れた日野さんは、1曲目「ビヨンド・ザ・ミラージュ」からパワー全開。美空ひばりの「川の流れのように」はブルースのアレンジで酔わせ、東日本大震災後に作曲した「ストーン・ラップ(石巻)」では哀愁を帯びた演奏で約400人の観客を日野ワールドに誘い込んだ。
東京で生まれ育った日野さんは、祖父の兵治さんが旧河北町の出身で、「戦時中は盛岡に疎開した。今もここ(石巻)に親戚がいる」と2年連続の凱旋公演を喜んだ。石巻でのコンサートは震災後6回目。兵治さんと青葉電気商会=同市鋳銭場=の佐藤英一社長の祖母かめよさんがきょうだいという縁で、公演を重ねてきた。
吹奏楽部員「とても光栄」
ライブの終盤、トランペットの贈呈式が行われ、日野さんが開催したチャリティーゴルフ大会の売り上げで購入したトランペット3台が住中吹奏楽部に贈られた。7月にあった多賀城・石巻地区のコンクールで金賞(小編成の部)を受賞したことから選ばれた。

日野さんから、ホクソン社製のクイーンブラス日野皓正モデルのトランペットを受け取った3人のうち、唯一のトランペット担当の佐藤そのかさん(2年)は、日野さんに促されて校歌のイントロをぶっつけで披露。「一音に命をはるんだよ。聴いてくれる人に愛をこめて」と日野さんからエールを送られた生徒たちは、緊張しながらも大感激していた。
ライブの最後は、日野さんがファンをステージに呼び込み、住中の吹奏楽部の生徒たちも打楽器をたたいたり、手拍子でプロのジャズメンと共演。会場全体が一体となって、寒さを吹き飛ばす熱いステージになった。

佐藤さんは「本物のジャズの演奏は迫力がすごかった。(プレゼントの)トランペットは響きが違った」と興奮冷めやらぬ様子。3年生の奥津望桜さんは「とても光栄。ジャズは予想がつかなくて面白かった」、2年生の鈴木優さんは「生の演奏は想像以上にすごくてドキドキした」とそれぞれ語った。
軽快なタップも見せてノリノリだった日野さん。「皆さん、よい年を迎えてください。また来年もここでお会いしたいです」と再訪を約束し、ステージを後にした。
【元本紙記者・本庄雅之】
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