3年ぶりも異なる勝手 感染対策の新たな形模索
6、7日の土日に開催された第99回石巻川開き祭り(祭実行委員会主催)は、3年ぶりに花火大会や陸上パレードといった主要行事が復活し、12万8500人の人で街なかが久しぶりににぎわった。とはいえ、新型コロナ感染症の急激な再拡大の真っただ中。細やかな対策が求められ、前回とは勝手が違う様相となった。来年の100回の節目に向けて、前年祭に当たる今年の様子を振り返る=3回続き=。【熊谷利勝】
川開きは江戸時代に北上川を改修し、石巻発展の礎とした川村孫兵衛への感謝の祭り。コロナの影響で97回、98回は報恩供養祭など関係者による祭典行事のみとなった。市や石巻商工会議所でつくる実行委は5月下旬、実質3年ぶりとなる今年の祭りを規模縮小の上で開催することを決定。コロナが危機的状況にならないことが前提だったが、感染は再拡大し、対策と両立を目指した祭りとなった。
手こぎのボートレース「孫兵衛船競漕」は消毒などの基本的な感染対策に加え、同一団体からの複数出場を制限。小学校鼓笛隊をはじめとした陸上パレードは、参加者同士の間隔を取り、みこしは担がず引いた。祭りを締めくくる大漁踊りに至っては参加を見送った企業もあり、ややさびしい印象だった。
実行委は来場者にもマスクの着用や大声での会話や声援を控えるよう要請。歩道への出店を禁じ、食べ歩きの自粛とともに飲食スペースを設けるなど工夫した。パレードの舞台となる中央から立町にかけた大通りには、3カ所に入場口となるゲート(テント)を設置。来場者に検温、手指消毒、氏名・連絡先の登録を求めたが、路地から大通りへの出入りに何ら制限がなく、対策としては中途半端感が否めない。
事前にウェブサイトで来場者登録することもできたが、ゲートを含めて実際どれぐらいが利用したか集計が済んでいない。お祭り広場や花火大会観覧場所にもゲートが設けられ、出入りのわずらわしさはあった。
感染対策は人手も費用も要るし、参加する側も見る側も楽しみが減る。関係者は「状況が変わらなければ来年も同じような対策をせざるをえない」とつぶやく。いまだ収束は見えず、ウィズコロナに対応した祭りの形を模索することになりそうだ。