コロナ禍の大規模災害に備え 石巻赤十字病院が実動訓練 感染疑いは専用区画に
石巻地方で唯一、感染症指定医療機関の石巻赤十字病院(石橋悟院長)で5日、新型コロナウイルス禍での大規模地震を想定した災害実動訓練が行われた。コロナ禍を想定した実動訓練は初めて。職員ら約160人が参加し、重症度で患者を振り分けるトリアージでは検温や簡易問診も行い、コロナ感染の疑いがあれば別区画で対応。実効性のある運営へ課題をあぶり出した。【近江 瞬】
感染疑いのオレンジエリアでは感染対策を講じた医師が陽性検査などを実施
県の災害拠点病院である同院では毎年、連携確認などで関係機関を含めた800人規模の実動訓練を展開しているが、今年は感染防止の観点で同院職員らに限定。コロナ禍での災害時も地域災害医療センターとしての役割を果たすため、流れを確認した。
搬送されてきた患者の体温は瞬時に検温される
訓練は宮城県沖を震源に震度6強の地震があり、負傷者が多数出たと想定した。加えて新型コロナは国内で連日2千人規模の陽性者が出ており、県内でも1日10―20人の感染を確認。石巻管内で1週間前に小規模のクラスター(感染者集団)があり、同院でもすでに重症者1人を含む7人が入院していることを前提とした。
トリアージエリアは同院玄関に設け、重症度で患者を振り分けた上で、早急な処置が必要な「赤」「黄」の患者については、感染の可能性を調べるため検温などを実施。37度以上の発熱がある場合、または熱がなくても県外往来歴や感染者との接触などを問診し、疑いがある人は別に設けたコロナ対応のオレンジエリアに収容した。
検温と問診が行われるエリア
そこでは患者の症状などに応じ、短時間で感染有無の結果が出る遺伝子検査の必要性を判断。入院先の調整や同時に災害で負った傷病対応も行い、参加者はコロナ禍での運営の難しさを実感したほか、想定される課題を集めた。
傷病対応と感染対策を同時に行わなければならないオレンジエリア
同院医療社会事業部の市川宏文部長は「動線の混乱や感染、傷病対応の両立など課題は多い。災害はいつ起こるか分からず、対応を誤り、院内クラスターが発生すれば災害拠点病院として機能しなくなる。職員の疲労も精度低下につながるため、より余裕をもって対応できるようにしなくてはいけない」と話していた。
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