「花園の夢と未来」 ①現状
4月24日にあった石巻南浜津波復興祈念公園市民活動拠点お披露目式。出席者約30人が見守る中、ごく簡素に執り行われた。3代目となる「がんばろう!石巻」の看板を中心とした一帯の工事が終わり、公園全体の整備が終了した。いよいよ市民活動への門戸が開かれ、市民とともに公園の将来が築かれていく物語の始まりだ。
看板をはじめ周囲の花壇や伝承施設「南浜つなぐ館」の運営など日常的に活動する7団体とそれを含む24の団体・企業で構成する参加型運営協議会が公園内での市民活動の管理、運営にかかわる。協議会には県や市もアドバイザーとして参加することになっていて、官民協働スタイルの公園は全国でも珍しい。と言えばよいイメージだが、「お披露目」を機に国は手を引き、今後は各団体がそれぞれの自助努力で活動を続けていくことになる。
団体関係者の間から「お披露目なら、近所の住民を招待してもよかったのに」「場所だけのお披露目は別に必要なかったのでは」といった声が聞かれたのは、特に資金面で継続性が担保されないまま船出したことへの不満がくすぶっているからだ。
とはいえ、昨年3月の津波復興祈念公園の開場、6月のみやぎ東日本大震災津波伝承館の開館、今回の市民活動拠点のお披露目で形は整った。一部で使い勝手が悪いと評された伝承館は、少しずつ改善されながら運営が続く。約38ヘクタールに展開された公園は、東側から伝承館、慰霊碑、市民活動拠点、広場とそれぞれに色合いが違う。全体を囲みこむように植林スペースが配置され、20年後、30年後を見据えた植林が続く。すでに7万本が植えられ、目標の10万本まであと一息だ。
市民活動拠点では色鮮やかな花壇が目を引く。黄金週間には今年植えられたブルーのネモフィラ、色とりどりのチューリップが訪れる人の目を楽しませた。そんな中、大型バスで乗り付けた団体客が「がんばろう!石巻」の看板前で記念撮影したり、家族連れがなごむ姿も目に付いた。追悼や伝承を第一義に、より多くの人が集う公園に。理想に向けた取り組みが静かに、熱く、新たなステージへ踏み出した。
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