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成人年齢引き下げ後初 震災、コロナ乗り越え 石巻地方で成人式 「当たり前の日常に感謝」

 成人年齢が18歳に引き下げられてから初の成人式が8日、石巻地方の2市1町で開かれた。対象は従来と変更なく19―20歳。新型コロナが流行し始めた年の高校3年生で、学校生活や進学に最も影響を受けた世代だ。県が発表した対象者数は圏域で1770人(男896人、女874人)。市町別では石巻市1263人、東松島市450人、女川町57人。新成人たちは明るい未来を展望し、感謝の心で新たな一歩を踏み出した。

 石巻市では5日に行った桃生を除く、6地区で実施。このうち石巻地区はマルホンまきあーとテラスを会場とし、中学校単位で午後に2回に分けて開催した。式には新成人と来賓のみが入場した。

晴れ着に身を包み記念撮影を楽しんだ

 式辞で齋藤正美市長は「石巻の次代の担い手として、若い力で未来を切り拓き、20年間支えてくれた両親や地域にも感謝の心を伝えて」と話していた。

 新成人代表で誓いの言葉を述べた大森双葉さん(渡波中出身)は「私たちは小学2年時に震災、高校3年時にコロナのまん延など多くの苦難に直面し、当たり前の日常のありがたさを感じた。同時に人とのつながりや出会いを大切にしようと思うきっかけにもなった」と回顧した。

 大森さんは看護師を目指し勉学に励んでいることに触れ「未熟の身だが、両親や地域に恩返しができるよう夢や目標に向かって進む」と決意を述べた。

 華やかな晴れ着に身を包んだ新成人たちはかつてのクラスメートや恩師との久しぶりの再開を喜び、式典前後は、会場外で記念撮影を楽しむなど和やかな時間を過ごしていた。【山口紘史】




マスク姿でも集える喜び 東松島は二十歳を祝う会
決意で「地域の力」に

 今年から「二十歳を祝う会」に名称を変更した東松島市は、市コミュニティセンターで開いた。懐かしい恩師からのビデオメッセージに笑顔を弾かせたほか、タイムカプセルの開封などを通じ、感慨深く20年間の歩みを振り返った。

新成人代表が決意を語った

 実行委が決めた祝う会のテーマは「栞 ワンページオブライフ」。約350人が出席し、式辞で渥美巖市長は震災当時小学校2年生で津波の犠牲となった同級生3人の名を読み上げ、「残念ながらきょうの出席はかなわない。皆で集いを素晴らしいものにし、胸を張って天国の友だちに言えるものにしてほしい」と強調。その上で「柔軟で豊かな想像力、熱いエネルギーをまちづくりに生かして」と呼び掛けた。

 二十歳の決意では伊藤壮汰さんと及川こころさんが「私たちは別々の道を歩いているが、いずれ全員が社会人の仲間入りを果たす。地域の力になれるよう日々努力を重ねていく」と誓った。

 祝う会実行委員長の工藤玲路さんは「私たちの世代は、高校3年時にコロナ禍が始まり、部活も行事もできず多くの悔いを残した。だからこそ祝う会で皆と顔を合わせ、懐かしい話ができたのは幸せなこと。本当に集まれてよかった」と話していた。

 式や恩師のビデオメッセージの後、小学校単位で思い出の品を返還したところもあった。このうち赤井小はタイムカプセルを開封。寄せ書き、身長体重が書かれた記録表などが入っていた。

 外処瑞樹さんは「野球の消しゴムが出てきて懐かしい気持ちになった。忘れていた記憶を思い出させてくれた」としみじみ眺めていた。【横井康彦】




「優しく芯のある人に」 女川町
抱負で天国の母に思い

 女川町の成人式は町生涯学習センターホールであり、町出身者48人中43人(男21人、女22人)が出席。保護者や来賓も式を見守った。

 震災犠牲者への黙とうと国歌斉唱後、須田善明町長が式辞。「皆の存在や頑張りが地域を奮い立たせてきた。今後も多くの壁にぶち当たるだろうが、それを経験に変え、力強く歩んで」と背中を押した。

町民憲章を唱和する新成人

 阿部瑠依さんと木村美麗さんが誓いの言葉を述べ、二十歳の抱負は鈴木翔さんと山本彩乃さんが担当。このうち山本さんは9歳の時に死別した母に向けた手紙を読んだ。

 「あなたのことを思い出すと、ふと寂しさで今でも涙が出ます。私も家族や周囲の人々に支えられ20歳になりました。私も、あなたのように優しく芯のある人になりたいです。20年前、私を産んでくれてありがとう」と天国の母に感謝の思いを届けた。【山口紘史】





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