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新たな御宮と絵馬奉納 渡波・尾崎神社 氏子の願いに三浦工房協力

 東日本大震災で社殿内の御宮が損傷した石巻市渡波本網の尾崎神社に4日、新たに制作した御宮が運び込まれた。修復を諦めていた佐須浜地区の氏子らが同市田道町で建築業を営む三浦工房代表の三浦保司さん(89)の協力で新たに制作。大漁祈願や海上安全など生活と密接に関わる神社に御宮が収められ、氏子らは安心した表情を見せている。【石森洋史】

 海を広く見渡す場所に立地する同神社は万治2年(1659)ごろに建立したとされる歴史ある神社だが、震災で御宮が損傷。震災前に43あった住居数は15まで減り、浜の氏子や次の世代を担う若手も減少。修繕費用の工面が難しく、本格的な復旧作業を見送っていたが、何とか御宮だけは再建しようと三浦さんに制作を依頼した。

 樹齢800年の青森ヒバを材料とした御宮は高さ2.2メートル、幅1.3メートル、奥行き1メートルで屋根に銅板を使用。一般住宅の建築のほか、御宮や御堂の制作も手掛ける三浦さんの技術を生かして作られた。

尾崎神社に御宮を奉納

運び込んだ御宮と神社の氏子たち

 これまで本殿には明治21年の大漁を祝い奉納された絵馬が飾られていたが、三浦さんは同じ絵柄の絵馬を新たに制作。源義経が平氏の拠点を攻めた屋島の戦い(1185年)の名場面「扇の的」を描き、新たな絵馬を作り上げた。

 この日、御宮は三浦さん宅から車で搬出され、重さ約500キロの御宮を社殿まで運ぶには氏子だけでは人員が足りず、佐須浜の工事作業を縁とした遠藤興業が協力した。社員12人が約30メートルの参道を慎重に運び、本殿の中に設置。高さ1メートル、幅1.3メートルの木材2枚に描いた絵馬も運んだ。

 氏子総代長の本間文雄さん(68)は「浜の人口が減る中、神社を維持するためには周囲の協力がなければ成り立たなかった。後世にどう残していくか課題はあるが、地域にとって大事な神社の御宮だけでも新たに作れて安心した」と語っていた。


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