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アルモンデごはん 11月の下弦まで

10月から11月に切り替わった瞬間、一気に年末が近づいてきている感覚になります。11月は私にとって大切な人たちに感謝を伝える月です。日々ありがとうを伝えてはいるけれど、特に…という理由は父と親友たちの誕生日が11月に集まっているからです。毎週のように「生まれてきてくれてありがとう」を伝えられる月、楽しみでなりません。


11月下弦までのごはん

<10月30日>

なんでもない日の鯛めし

閉店間際のご近所スーパーで、私がまず向かうのは鮮魚コーナー。一番掘り出し物が多いからなのですが、その中でもあったらラッキー!と嬉しくなるのが丸ごと一匹のお魚。この日は20cm以上もあるち鯛が値引きされていて、値段はなんと200円!さっそく家に帰って米を研ぎ、昆布を水に浸して、準下拵えは完了。お風呂から出る頃には全ての準備が整っています。鯛を焼いてお米と一緒に土鍋で炊いたら、なんでもない日の大ご馳走の出来上がりです。
実はこのち鯛、月一くらいで食べてます。丸ごと一匹の魚は、半額シールの常連さん。内臓処理されていても面倒なイメージがあるのでしょうね。魚料理のハードルはなかなかに高い。ビーガン料理の人だけれど、その殻もぶち壊して魚料理のクラスもしようかな、なんて考え始めています。


<10月31日> 

ブリブリのブリ

好きな魚は数あれど、常に上位ランクインしているのがブリ。特にこれからの季節は脂が乗って美味しくなりますよね。どこでも手に入って手頃な価格という有難い存在です。照り焼きが定番ですが、私はカツや唐揚げなど揚げて食べるのが好き。脂が油を落としてブリの脂の美味しさがグンと増す気がするんです。この日は塩麹につけておいたブリをブリカツにしました。見た目がちょっとなのは、簡単に衣をつける方法を模索していたため。もう少し改良が必要だけれど、少ない油でもカラッと仕上がって御味は上々でした。たっぷりの大根おろしと一緒に食べると最高すぎて、切り身×2枚をペロリと平らげてしまいました。ブリでお腹いっぱい。


<11月1日>

アーユルヴェーダプレート

国境なき料理団のメンバーと共にスリランカランチ。
この日は午後から師匠の本道佳子さんと料理団の仲間と共に、フランスバターを学ぶ会に出席する予定でした。少し早めに集まってランチをしながら近況報告…というところまでは、いつもと同じ流れなのですがこの日は師匠から隕石が落ちたくらいの衝撃的な発表がありまして。その後のバターの回も相当面白いものだったのですが、師匠の話にびっくりしすぎて記憶はうっすら(笑)
言葉や願いを現実にするプロでもある師匠の20年来の希望が叶うことになり、私たちも大はしゃぎ。ほんの数日であっという間に決まったと聞いても、「まぁ師匠ならありうる」と納得せざるを得ませんでした。そして、これが私の師匠離れのきっかけになるとも感じてもいます。5年ほどゆるゆるとアシスタントをさせてもらって、料理だけでなくご縁を繋いでいくことや望みを現実にすることについても学ばせていただきました。いつでも会えたしいつでも頼ることができたけれど、それも来年からは少し難しくなります。独り立ちの時がきたんだなぁ。遅すぎる師匠離れ。でも追う背中が常にあることは幸せです。


<11月2日>

もってのほかの最適解

もってのほか。食用菊のことですが、私はこれが大好物で秋を毎年楽しみにしています。(先週のnoteにも書きました)もってのほかの大好きな食べ方は、茹でたキャベツと和えること。ほぼこれしか作らない…。手でちぎってさっと茹でたキャベツともってのほかを、ホワイトバルサミコ酢と塩で和えるだけというものなのですが、べらぼうに美味しいんです。冗談ではなく、ボウルいっぱいペロリと食べてしまうほど。これはもう10年以上前、野菜を学ぶために通っていた築地御厨の内田さんから教えてもらったレシピ。分量等はすっかり我流になっていますが、今でも初めて食べた時の感動を覚えています。味わいも色の美しさも香りも全てが完璧だったんです。来年も10年後も作り続けたい季節のレシピ。どうかもってのほかの生産者さんがいなくなりませんように。キャベツが庶民の野菜でありますようにと心から願うばかりです。


<11月3日>

朝から漬け丼

このnoteでは何度書いたかわかりませんが、閉店前のスーパーオタクな私。昨日の夜もいつも通り仕事帰りスーパーに直行し、半額になったマグロの柵を手にして帰宅しました。夕飯は刺身、残りは醤油と味醂に漬け込んで就寝。
翌日はもう朝起きた瞬間からテンション高めです。だって朝ごはんは漬け丼なんですよ!仕事の準備を全て終えた朝7時。ピカピカに輝く漬けマグロを炊き立てご飯にのせて頬張りながら、心の中では前日の私に「グッジョブ!」と叫んでいます。料理は絶え間ない連続性。日々の暮らしの恩送り。小さなことでも昨日の私に感謝したり、明日の自分を喜ばせることができるっていいな。


<11月4日>

酒徒さんすごい

X(Twitter)でフォローさせていただいて、noteのレシピも購入させていただいている酒徒さん。先日発売された初めてのレシピ本を購入後、ひたすら酒徒さんのレシピを作り続けています。こんなに夢中になるレシピ本は久しぶりです。材料、味付け、全てにおいてこれ以上簡素化できない!というくらいにシンプルで、食材以外はほぼ油と塩のみ。だけど何を作っても唸るほど美味しいんです。この本を通して、改めて油と塩の使い方について学んでいるところ。
ヴィーガンを長くやっているので、油の役割については重々分かっているつもりでいたけれど、つもりでした!いや本当に一から学び直しています。それは塩についても同様で、塩は味付け以上にまとめ役だったということを食べるたびに痛感するのです。ついついやりすぎちゃう自分の癖と向き合う大きなきっかけとなりました。素晴らしいレシピ本だー。

<11月5日>

酒徒さんすごい(2回目)

本日も酒徒さんのシンプルなレシピをつくりながら、ここ数ヶ月モヤモヤしていた「食を仕事にする」について考えてます。料理も食べることも好きだから、どのSNSも私のタイムラインはレシピや食べ歩き報告がスッと流れてくる。楽しんで喜んですごいなぁって思いながらずっと見てきたのに、この数ヶ月はあまり興味がなくなって、疲れすら感じていました。美味しいものってたくさんある。でもすっごく美味しいものっては毎日食べられないんです。私だけかもしれませんが。里芋茹でて塩振っただけとか、大根だけの出汁なし味噌汁とか、案外それで満足。
SNSにアップするほどでもない、料理名をつけるほどでもない。その居場所は今どこにあるんだろう。食を仕事にする。それは料理を仕事にするとは違うのだと、原点に戻って考える日々です。

この一週間は家にいる間、ほとんど台所で過ごしていました。料理をしたり冷蔵庫やストックの状態確認や掃除をしたり、調理道具の断捨離をしたり。この状態は定期的やってきます。行き詰まったり迷ったりすると、私は台所に籠る癖があるみたい。手を動かしながら瞑想しているんです。考えをまとめようというよりは、自分の思考を整列させるという感覚。
ここがあれば大丈夫という拠点であり始点みたいな場所は、自宅でなくてもみんな一つは持っているんじゃないかな。誰かにとってのそんな場所のこと、聞いてみたいですね。

<お知らせ>
毎月、埼玉県草加市で開催しているレシピのない料理教室。
おうちにアルモンデ食べたいものが作れるように、食材や調味料の組み合わせや調理法のコツをお伝えしています。
11月は毎年恒例の「ひよこ豆でつくる手前味噌」クラスです。普段の料理に使う調味料が、自分のお手製になる!それってかなり嬉しい出来事です。基本調味料の「砂糖・塩・酢・醤油・味噌」のうち、一番短時間で一番気軽に自分で作ることができるのが、味噌。一般的な味噌の原料は「大豆+米麹」ですが、ひびのわでつくる味噌の原料はちょっと珍しい「ひよこ豆+米麹」です。お店で買えない味を自分の手で作ってみませんか?ご参加お待ちしています。







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