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不登校の高校生の彼の「通信制高校を決めるまで」

「学校を辞めて、通信制高校に行きたい」
この言葉から始まった不登校。
彼は当初から通信制高校への転校を考えていたようだ。

そんな彼は、時々、広く名の知れた通信制高校の名前を口にしていた。調べてみると、とても魅力的で様々な経験ができる高校であった。

我が家から通学可能な範囲にサポート校があるので、転校を視野に、彼とこれからのことを話した。

できれば週5日通学したい
できれば大学に進学したい

サポート校で、彼の希望は叶いそうだ。
ただ週5日通い、大学進学のサポートも受けるとなると、我が家にとって大きな出費となる。

「今の高校」は公立高校だ。
この学費の差は大学進学後の教育費に大きな影響となる。
通信制高校への転校も希望の1つとしている彼に、この現実を伝えるべきか悩んだが、避けては通れないし、影響するので伝えることにした。

「お母さんもいろいろ調べてみたんだけど、週5日通学して、大学進学のサポートもその通信制高校で受けようと思ったらびっくりする金額になったわ。
もし、その高校に行くなら、大学進学用に貯めていた学費を高校から使うことになるかもしれん。そうすると大学は奨学金を借りてもらもらうことになると思う。
もう少し学費の負担が少ない通信制高校でも希望が叶うところがあるみたいだし、先のことも含めてよく考えてみて」
冷静に話したつもりではあったが、彼の希望を打ち砕いたのかもしれない。

「僕は、行きたい高校にも行けないのか」
と、大きな声で言って、布団に潜り込んでしまった。

伝えたことを後悔した時もあったが、通信制高校を相談しながら選ぶきっかけにもなった。ただ、話しを聴けば聴くほど、彼は学校に通うことを希望していることがはっきりと分かり、「今の高校」に再び通うことが一番いいようにも思え、また悩んだ。
そして、そんな迷いの中で、彼は決断していった。

通信制高校への転校を本格的に考え始めたのは、留年が確定してからだ。
その頃には、もう少し先の未来も柔軟に考えられるようにもなったのか、当初希望していた通信制高校のサポート校ではなく、週5日通学が可能な他の3校が転校先候補となっていた。

「資料請求しておいてね」
「分かった」
彼自身が資料を取り寄せ、そして、転校説明会に行くことになった。

過去を振り返り、「不登校の高校生の彼」の物語を綴りました。
これから先は現在進行形の物語となります。
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