不登校の高校生の彼の「決断」
彼にとって大きな決断が二度あった。
一度目は、「定期テストを受けるか受けないか」だ。
学校には全く行けそうにない。
ただ、定期テストを受けないと評価は各段に悪くなる。
様々な大学入試の方法がある中で、高校1年生の評価が大事になるかもしれない。そういうことが分かっているので、それをここで放棄していいのかと葛藤している。
「どうしよう、どうしよう」
少しでも楽になるようにと高校に相談して「別室」を用意してもらえることとなった。
定期テスト前日
「あああああ」文字通りの言葉を発し、心から苦しんでいるのが見える。
そんな苦しんでいる彼を見るのが辛く、病院の先生に相談することにし、急遽、心療内科を受診した。
彼の生気のない顔を診た先生からの「今の状態では無理じゃない?」の問い掛けで、彼は定期テストを受けないことを決めた。
「今の高校」でそれなりの成績を修めることを手離すこととなった。
同時に、彼の悩み、苦しみを一つ手離すこととなった。
二度目は、「このまま欠席が続けば留年が確定する」だ。
5月連休後のあの日から一日も学校に行かずに6月下旬となった。
高校からは、現在の欠席状況を知らす通知を受け取っていた。
これ以上欠席日数を重ねると、2週間後には留年が確定する。
入学時に思い描いていた高校生活がこのままでは送れない状況を受け入れられていない。
「なんでなんで」
元気になった時に「あの時、留年せずに「今の高校」に行けていたら」というどうすることもできない想いに囚われないためにも、しっかりと向き合うことを彼に提案した。
留年が決まる前の1週間
休むことが当たり前になっていたが、もう一度、登校できないかに挑戦してみることにした。
登校の準備はできるか。
制服は着ることができるか。
家を出ることができるか。
1限目が厳しいなら、3限目から登校できるか。
こんな風に1週間、親の私たちは仕事を調整して、彼と一緒に「行けるのか、行けないのか」に向き合い、彼は行かないことを決めた。
「今の高校」で思い描いていた高校生活を過ごすことを手離すこととなった。
同時に、彼の悩み、苦しみをもう一つ手離すこととなった。
一度目は病院の先生からのアドバイスが、
二度目は親からの提案があったけれど、
しっかりと向き合って、彼が決めた。
この事実はこれからの彼の人生に必要であったと思っている。
この二度の大きな決断から、本格的に新しい生活へ向けて動くことになった。
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