哲学をまなぶ本が話題になっている話
本日(2024.1.27)の日本経済新聞朝刊「活字の海で」というコーナーで「子ども視点で哲学まなぶ本 親子でつける考える習慣」 という記事が掲載されていました。
哲学に関する入門本のようなものは定期的にブームがあるのですが、昨年あたりから戦争やAIブームなどの社会情勢を鑑みた「考えること」についての指南先として哲学の考え方が注目されていいます。
そもそも正解やゴールがあるわけではない問題について探究することには躊躇があります。私たちは日々の生活の中でこなさなければならないタスクや、目の前に立ちはだかる日常の問題に精一杯です。何やら言いようのないようなものに対峙する時間や手間は少ない方がいいに決まっています。
しかし、日々の生活の中に埋没してしまうことで見えなくなってしまうことやものがあることもまた事実です。それらはある日突然やってきます。そして私たちがいかに考えることを避けていたかを思い知らされます。なにか言いようのない漠然とした不安のようなものはいつの時代にもありますし、誰もが抱えているものでもあります。その不安や恐れのようなものが一体何であるかを考えることを人は求めているのかもしれません。
私たちが運営する『日々の哲学』は、まさにそれらの概念をテーマ別に取り上げ、過去の哲学者の思想を紐解き、作品をもとに考えていこうとする試みです。現在の【概念編】は「哲学入門一歩手前」というテーマで考えるとはなんなのか、何を考える必要があるのか、ということに対する指針のようなものを取り扱っています。
ただ、短い時間の中でお伝えできることには限界もあり、どうしても多少の基礎知識のようなものはあった方が理解が深まることもまた事実です。そこで冒頭の記事に紹介されているような書籍をあたってみることもおすすめします。
この記事で紹介されているのは3冊。
まずは私が正月特別篇のブックトークでも取り上げた『フランスの高校生が学んでいる哲学の教科書』。これは解説もやさしい表現で歴史上の哲学書を取り上げているのでおすすめです。あとの2冊は、『父が息子に語る壮大かつ圧倒的に面白い哲学の書』 と『武器になる哲学 人生を生き抜くための哲学・思想のキーコンセプト50』でした。ざっとみて少しでも興味が湧きそうなら手に取ってみてはいかがでしょうか。
『武器になる哲学』の著者である山口周さんはJ-WAVEで毎週土曜日の15時から「NTT Group BIBLIOTHECA 〜THE WEEKEND LIBRARY〜」という図書館トークのような番組を長濱ねるさんと続けています。
1/27の放送で紹介されたこちらの新書では意識や意思というものが本当に存在するのか、というテーマで著者の妹尾武治氏の個人的見解が滔々と語られています。
これもまた「自分が考える」ということはどういうことなのか、という哲学的な問いについての一つの意見であり、個人的には興味深く読めました。
少し大きな書店に足を向けると、哲学書のコーナーだけではなく実用書のコーナーにも哲学書の手引きのような書籍が並んでいます。個人的には、これくらいライトなところからでも入門一歩手前には十分すぎると感じています。
そして、もっと哲学に関するあれこれを味わいたい、考えるきっかけを探している、という方はぜひ私たちの『日々の哲学』に参加してくださいませ。
次回の講義は2024年2月3日(土)21:00〜 【概念篇】哲学入門・一歩手前(2)を予定しています。