そうじゃないっと 泡だらけの食器から 聴こえた方へ顔を向ける 真顔でじっと姉の手元を見つめる妹と 眉間に皺を寄せ机の前に立ちはだかる姉 終始強い言い方で 私がやるのを見ててねと 彼女の手からペンとノートを奪い取り やってみせたはいいものの 任せたその3秒後 ちょっと間違えようものならば 語気を荒げて注意する 教えてあげているようで 出来ない箇所の指摘をする キッチンから眺めていた私は 第三者になっていた いつかの私の姿をそこに見ていた しかし そんな彼女にかけた言葉
こんなにも心細くて、 なぜか力強い自分を感じるのは久しぶりだ。 子どもがいつ咳込み、 タクシーを呼んで救急に駆け込むか分からない 子ども二人を抱いて、行けるのだろうか 行ったあと入院になるかもしれない しかし、下の子は入院に付き添えないはず さて、これはどうなるのだ 分からない、分からないけれど 準備はするのだ.安心して眠れるために. 明日の朝を迎えることが、 こんなにも長く感じるなんて. いつもは二人が寝てからの自分時間は あっという間に過ぎるのに 心がソワソワして藁に
心に何かが触れた時 言葉がブワブワと湧き出てくる 記しておこうとペンを持ったその瞬間 すでにそれは水面に落ち 周りの水と一体に 水の中に入れた手で 掬えたのは言葉の端切れ 言葉と言葉を繋ごうと 両手で掬ってみるけれど あの時一度に湧き出た一文は 噴き出た あの瞬間のみ輝いていた なんとかもう一度、と 必死に探すも自らかき混ぜ 行方を見失う そしてその内 水は循環し 明日の私の身体には 留まらない なんとも切な