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小諸の藤村文学講座の感想

12月16日(日)に小諸市で開かれた藤村文学講座に行ってきたので、その感想をつらつら~と✍️
今回の講座のテーマが『藤村と徳田秋聲』
サブテーマが~「黴」を中心に~ということで、徳田秋聲先生の作品を読みながら、徳田秋聲とは?この「黴」を読んでわかることは?藤村先生とどんな関係があった?などのお話を聞けました。

※私自身、文学の道に詳しくない素人の感想ですので、ご容赦くださいませ。

ちなみに参加費300円です。おやす👏( ˘ω˘ )

「黴」とは?

まず大前提の話ででてきたこの作品は、徳田秋聲先生の小説。
調べたら、青空文庫でも読めるみたいです。
「東京朝日新聞」で連載されていたもの。
夏目漱石先生の依頼で、新聞に載せることになったらしいです。

当時の批評

当時の夏目漱石先生が、「大阪朝日新聞」で、この作品を批評していたそう。曰く、

この作品は嘘らしくない。
徳田氏の小説を読むと、現実味はこれか、と思うが、それだけで有難味がない。

これを述べたうえで、

徳田氏の小説は、真面目で、無駄がなくて、老練である。どんなものを書いても出来損ないがない。

上記2つ「大阪朝日新聞」談話より要約

とも言っています。
確かに人間の生活の様子を書いているので、起承転結が必ずあるわけでなく、奇想天外な話でもないから、じゃあここから何を学ぶ?と問われてもそれはないのかもしれない…。が、そこがいいんだよな~~~🤔
まずそもそも、現実世界のありのままを、そのまま切り取って文に落とし込むってすごくない??文を読むだけで、飾らないそのままの情景が思い浮かべられるんだよ。そして、それは決して私たちの生活からかけ離れているのもではなくて、むしろ身近にありすぎる情景なんだよな。でもその当たり前の風景を、じゃあ私は描けるのか?と聞かれたら難しいよ。絶対誇張や余計なものが入ってしまうと思うんだ。
でも徳田先生の書くものには、それがないってことだもんね。

あと完全に個人的考えなのですが、人間常に上を向いて歩けるわけじゃないからさ…。
この話を読んで、聞いて、元気をもらった!背中を押してもらった!ていうエネルギーのあるものも、確かに必要だとは思うのですが、そんな常に「頑張って!!」て言われるの疲れるじゃないですか。(私はそうなので)
こんなふうに前だけ向けない状況にある自分を、それは変でも何でもなくて、当たり前なんだよって寄り添ってくれる話も、私には必要なんです。
そういうときに、俗に「自然主義」で括られる方たちの小説を読みがち。
うん、何言ってんだって感じなのですが(笑)

つまり何が言いたいかというと、人が生きている日常を、これだけ丁寧に掬い上げる徳田先生すごいなってことです!!

自然主義について

先ほど、自然主義の方たちの本を読みがちといいましたが、なんと藤村先生自身は、あまり自分をその括りの位置づけにいることを公言していなかったとか?対する徳田先生は、自分を自然主義だという位置づけにいる、という思いはあったのだそう。

徳田 「思はれても居るし、それに自然主義といふのは、大体軽蔑的に思はれて、何か悪い事があるとそれは自然主義だと言はれるのは、少しおかしいね。」
島崎「私は昔から余りさう主張する立場には居なかつたのだけれども、しかし自然を探究するといふ気持は、自然主義の時代に終わりを告げた訳でもなかつたろうね。」

「新潮」対談「徳田秋聲・島崎藤村 人生・文芸を語る」より抜粋

えっ???そうだったんだ???とびっくり。
確かに、文学を大きく整理する上で、~主義に分けようと思うと、自然主義になってしまうのか…。でも、藤村先生はあまり「自分は自然主義です!」とは言ってなかったのね。
でも、理想を掲げて現実には妥協しない姿勢もあったそう。
また、自然主義の考えはどっちかっていうと批判的に捉えられていたようです。

祝賀会について

藤村先生を中心にして、田山花袋先生・徳田秋聲先生の誕生50周年をお祝いする祝賀会が、東京の当時あった有楽座で開かれた。
なんと、このときの司会が久米正雄先生だと聞いて、どこにでも出てくるじゃん!!!すごいな!!と驚きが隠せなかった。
錚々たるメンバーが集まり、バイオリンの演奏会もあったとか。

藤村先生が、その二人に向けて残した言葉がもう、心に沁みました。

君等と共に歩いて来た長い年月の間のことを思へば、私は黙して居たいやうな気がする。それを自分の感慨にかへたいやうな気がする。夢は長く、行く道は難い。君等の誕辰を記念するこころは、やがて時代の難さを記念するこころである。

『現代小説集序』

これについて講師の方が、「先を歩いていた秋聲に対する敬意があったから、藤村はやろうとしたんだね」とお話しして下さいました。先程自然主義の括りの話をしましたが、当時2人がお互いのことをどう思っていたか、など書簡や手記からしか読み取れませんが、相手のことを大切に思ってないと、こんな祝賀会なんて開かないもんね…。この「共に」歩いてきたっていう言い方がもう、もう!!この時代の文学の道を切り開こうとした人たちに、圧倒的感謝しかないです。あなた方が道を作ってくれたから、今も文学は大切にされているよ。

その他講演メモ

・「黴」の主人公とされている笹村=徳田先生?説がある
・藤村先生の「家」も、内容は、世の中の動きに関係なく、家の中での出来事が描かれており、ゆるやかに没落していく様がある。
(↑すごく何ていうか、心にきた。)
・「家」はもともと3部構成にする予定だった?
・徳田先生の「足跡」は、お銀が笹村に会う前のお話説。
 花袋先生はこれが同一人物だと知ってたから、「こっちのが上手に書けてるよ」と評価もしていた。
・徳田秋聲と夏目漱石は会ったことがある(?)
→高浜虚子先生に誘われていった、靖国神社での能に夏目先生もいた説。

(まずこの二人で行ったんだ~と)

そして帰ってきて調べたら、今も夜桜能というものがあるんですね。

来年も講座あるよ!

2時間の講演でしたが、ほんっっとに内容が濃くて、あっという間で、もっと聞いていたかったな~。
まだまだ知らないことだらけで…。すごく勉強になりました。
そして、できることなら全ての講座に参加したいのですが、何せ遠いもので!!!こんなに素敵な講演、オンラインもしません!!??全部聞きたいよ~

そして、来年も藤村講座あるみたいです。
藤村先生の作品にフォーカスを当てた講座みたい。
いや待って、何よりも好きな『嵐』の話もある…。

ここまで読んでくださり、ありがとうございました!

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