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【着ぐるみ制作】着ぐるみの縫い方【アドカレ7日目】
(最終更新:2022/12/14)
この記事は「日陰工房アドベントカレンダー2022」の7日目の記事です。
響音カゲです。
着ぐるみの縫い方で迷ったことはありますでしょうか?
初心者に向けた、着ぐるみの基本的な縫い方を紹介します。
着ぐるみの縫い方について、誰でも迷わないレベルにまで知見が貯まってきたので公開します。
基本的に、着ぐるみの縫い方はセオリーがあるので、それ通りにやっていれば(縫うのに失敗することはありますが)致命的なミスにはならないです。
この記事では最も基本的な道具から、縫い方までを解説します。
参考にした記事のリンクは下部にありますので、そちらも合わせてご覧ください。
道具について
以下の道具を揃えるといいです。
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手縫い針
制作で主に使う手縫い針はメリケン針(洋針)です。メリケン針には長針と短針があります。番手が小さいほど太くなり、厚地用になります。
指の疲労を度外視して縫うなら100円ショップのものでも十分縫えますが、チューリップかクロバーが縫いやすいです。
針の滑りが良いのと、針穴が太くなっていないのとで摩擦抵抗が違います。摩擦が大きいと指が疲れやすくなるため、長時間大量に縫い続ける着ぐるみ制作では効率に差が出てきます。
ブライトフェイクファーを縫うなら厚地用メリケン針4・5号を買えばいいでしょう。
特殊な針としてカーブ針があります。
すでにファーを貼り付けたヘッドに後から首毛を採寸して縫い付ける場合や、奥まった箇所を縫う場合など、直線針では縫いづらい箇所を縫う時になにかと便利です。
1つ買っておくと役に立つ場面がそこそこあります。
ミシン針
ミシンであれば普通地用の中厚地用を買えばいいです。
ブライトフェイクファーであればミシン針は普通~厚地用の14号を使えばいいです。(オカダヤの説明にも似たことが書いてあります)
ストレッチボアを縫う人は厚地用ニット針も持っておくといいかもしれません。
※洋裁用語で、伸縮する生地のことをニット地と呼びます。
針の寿命
針は何十時間か使っていると先端が丸くなってきます。こうなると、目の細かい生地を縫う時に針が通りづらくなります。特に、ミシンだと地の生地に穴が空くようになります。
下に、ミシン針の交換目安についての、うさこの洋裁工房さんの動画を貼っておきます。
手縫い針、ミシン針のいずれでも
曲がった
錆びた
折れた
先端が丸くなった
滑りが悪くなった
辺りが交換の目安になってきます。
糸
糸は手縫い糸とミシン糸で撚り(より、ねじり)の方向が違います。右利きの人は手縫い糸を、左利きの人はミシン糸を使ったほうが、糸がほどけにくいです。
糸は綿(コットン)製とポリエステル製がありますが、着ぐるみ制作では滑りが良く、毛羽立ちにくく、針に通しやすく、耐久性もあって切れにくいうえに安いポリエステル製のほうが使い勝手は良いです。
とはいえ、どっちでも実用上は大差はないです。
色は超短毛以外はどうせ見えないので割と適当でいいです。白か生成(きなり)か黒を持っておけば十分です。
もし丁寧にこだわって色合わせをするときは生地の切れ端を持っていって一番近い色を選びます。
手縫い糸
ボディの手縫いにはポリエステル製の太口普通糸を使います。
綿(コットン)の糸は伸びにくいという利点はあるのですが、ポリエステルよりも切れやすく、毛羽立ちやすくて滑りも悪いです。
(とはいっても、微々たる差なので太口の手縫い糸なら正直何でもいいです)
入手性の良い糸の中では、フジックスのキングハイスパン ボタンつけ糸 20番がおすすめです。
ボディを全部手縫いすると1巻じゃ絶対足りないので、2~3巻ぐらいは買ったほうがいいです。
ボディ全手縫いはやったことないし、今後もやる気はないので、もしやった人がいたら何メートル糸を使ったかコメントで教えてください。
ストレッチボアなどのニット地を縫うならレジロン ミシン糸を使ってください。
ミシン糸
さっきのオカダヤのページでも載ってますが、糸はポリエステルのスパン糸60番を使えばよいです。
フジックス シャッペスパン #60が入手性が良いと思います。
糸通し(スレダー)
あったほうがいいです。
着ぐるみ制作では特に太い糸を使うのと、良い針ほど針の滑りをよくするために針穴が小さいので、糸通しがあったほうが楽になります。
クロバーが出している卓上糸通し機(デスクスレダー)がおすすめです。ワンボタンで糸がすぐに通るため、要らないところで集中力を使わなくて済みます。
普通のスレダーも、自動糸通しのない安いミシンや、カーブ針に糸を通すときに使うので、常に手元に置いています。時々壊れるので、ある程度ストックしておいたほうがいいです。
指ぬき
なくてもいいですが、布が重なっている固いところを縫うならあったほうが絶対に楽です。効率に影響します。
ファーが重なっている箇所などはないと指がめちゃくちゃ疲れます。特に、私はファスナー周りを補強するために、綿テープを接着剤で貼り付けたりするのですが、その箇所を手縫いで縫い付ける時は地獄のように固いです。
このときに、指ぬきを使うと使う力が半分ぐらいで済むので、こういう箇所を大量に縫う時はすごく楽に、かつ早く作業できます。
金属製や革製、皿タイプや指輪タイプなどいろいろありますが、どれか1つあれば十分です。
縫う箇所によって微妙に使い勝手が変わってくるので、高くもないですし複数持って試してみても良いです。
待ち針・クリップ
布同士を固定しておくのに必要です。
クリップと待ち針で使いやすい場所が分かれてくるので、両方揃えておいていいと思います。私は両方とも大量にストックして持ってます。
小さいお子様のいる家庭なら、クリップのほうが安心でしょう。
糸切りバサミ
糸を切るのに使います。糸を切り出したり、手縫いやミシンの縫い終わりを切ったり、縫い目を解いたりと、色々使う場面があるので、使いやすいものを1つ持っておくといいです。
私は使用頻度が高い割によくなくすので、2, 3個持ってます。
リッパー
縫い目を解くための道具です。糸をこれで切っていって縫い目を解きます。
糸切りハサミで全部やっちゃう人もいます。
2022/12/14追記
ファブリックウェイト(文鎮)
重しです。型紙の転写や、型紙制作にはあると非常に便利です。
何でもいいですが、色々な形があるので、自分の使いやすいものをいくつか持っておくといいです。
私は丸文鎮と棒文鎮をいくつか持ってます。
追記ここまで
その他
針山(ピンクッション)などがあるとよいです。
手縫いの縫い方について
基本的には手縫いの場合は、縫い合わせる箇所はブランケットステッチで縫えばOKです。
ボディは5mm角、ヘッドやケモ手の細かい箇所などは3mm角程度で縫います。
縫い目は均等な幅に揃えて、きれいに縫います。縫い目の大きさに合わせて縫い代はそれぞれ測って作っておきましょう。
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縫い代については、詳しくは後々公開する予定の裁断の記事でも解説します。
ファスナーの縫い方(手縫い)
ファスナーを縫い付けるときだけは本返し縫いで縫います。
こちらの動画の付け方を、本返し縫いでやるだけです。着ぐるみのファスナーには体重が掛かるので、動画通りに並縫いで縫うと、着ぐるみの場合は強度が足りません。
実際にファスナーを付けるとこんな感じになります。
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ミシン縫い
家庭用直線ミシンで直線縫いするだけです。それ以外の縫い方は基本的に使いません。
ファスナーや細かいところは手縫いが必要ですが、それ以外はやろうと思えば全部ミシンで縫えます。
使い方はミシンの取説とYouTubeを観てください。
ファーを切り出したら大量にハギレが出るので、ひたすらそれでまっすぐ縫ったり、曲線を縫ったりする練習をしてください。ミシンは操作方法さえ間違えなければ、練習量を積んでいけばどんどん上手くなります。
ファーとか厚地を縫う場合は、家庭用であれば、パワーが強ければ強いほど良いです。基本的に値段とミシンのパワーや機能数は概ね比例します。
厚地に強くてかつ安いのはシンガーのHeavy Dutyシリーズとかです。ただし、輸入ミシンなので取説が英語だったり、修理が大変だったりというデメリットはあります。操作方法は日本のミシンと変わらないのでさほど難しくはないと思います。
ケモ手とか、めちゃくちゃ細かいところまでミシンだけで綺麗に縫うにはJUKIの職業用ミシンぐらいのパワーが必要ですが、仕事にしないならここまではいらないです。どうせファーだと毛並みで縫い目の仕上がりまで見えないですから。
私はほぼ全部ミシン縫製で仕上げるうえに何キャラも大量に縫うので、パワーにモノを言わせるために職業用直線ミシンに買い替えました。縫製スピードとパワーで作業効率と耐久性を求める上級者を目指すのであれば、購入を検討する余地はあります。
ストレッチボア同士を縫い合わせるときはレジロン糸を使って、ジグザグ縫いや伸縮縫いを使うとよいです。
ストレッチボア同士を縫うときに、究極に縫い目の美しさにこだわるならロックミシンを買ってください。
(余談ですが、究極的には手縫いのほうが美しく、生地へのダメージも小さく縫えます。ただし、それは何十年も仕事で手縫いを続けた人のレベルであって、趣味でやる人ならばたいていミシンのほうが綺麗に縫えます。)
その他
股下とかファスナーとかの強度の足りないところを二重で縫ったりすることがあります。
コの字縫い
縫い閉じ
とかは必要になったらググって覚えていけばいいです。
まとめ
基本的にミシンでできるところはミシンでやったほうが早いですし、逆に手縫いだけでも気合いと時間さえあれば着ぐるみは作れます。
縫製も、正しい練習方法で数を積んでいけばほつれず綺麗な仕上がりになっていくので、色々な動画を観て勉強して、ハギレでひたすら練習してください。
日陰工房オフの時には、工房に設置してあるミシンが使えますので、関東近辺で気になる方は参加してみてください。
それでは。
明日の記事は「ケモ手の縫い方」です。
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