自作着ぐるみの価格設定をどうするかという話
作った着ぐるみを売るというのはすごく難しいです。
実際、技術力があるはずなのに売れてない人多いんじゃないでしょうか?
個人事業として10年サークル活動をやった経験から書いていこうと思います。
売れる価格をどう設定するか
大きく分けて価格設定には2つやり方があって、
先に価格を設定し、それに見合ったキャラクターを作る。
作ったキャラクターが売れる価格を設定する。
まあいずれにしても価格調整は必要なのですが、今回は先に価格を設定する方法について書いていきます。
作ったキャラクターが売れるかどうかは、個別の内容に依るからです。ぼくに相談してもらえれば、壁打ち相手ぐらいにはなります。
先に価格を設定する方法
これは市場調査などをしてから、価格を設定するというやり方ですね。
着ぐるみの価格というのは、現在はだいたい個人制作であればフルスーツで16万円程度からというものが多いです。安いものだと10万円、そこそこ高いものだと30万円程度。分からなければ、メルカリやヤフオクやTwitterで価格を見ればいいです。
対して、ある程度制作を積んできているところだとおよそ30~40万円ぐらいからスタートしているところが多いです。
有名所の着ぐるみを作っているところだとだいたい50~80万ぐらいから。高いものは100万円前後ですね。
特殊造形ゼペットのタイリクオオカミの着ぐるみが300万円ぐらいなので、信頼と企業ブランド力があればお金に変換できます。大口の仕事を受けるには相応のコネと信頼性が必要です。
金額はどう設定されるか
まあ、見れば分かる通り、
信頼度×ブランド力≒お金
です。
顧客は着ぐるみを買っているというよりかは、着ぐるみを買うことによる体験に金を払っているというほうが正しいです。
だから、着ぐるみにいくらお金が掛かっている! 手間暇掛けてます! って部分は信頼性に多少関わってくるぐらいで、売れる着ぐるみの価格には直接的には影響しないんですね。頑張れば高く売れると勘違いしちゃダメです。もっと顧客の方向を見なきゃ。
着ぐるみを買うことによる顧客の満足度を最大化できるか否かが金額の分かれ目です。
個人で値段を下げても売れないのは、そもそも人に知られていないのと、信頼性が低いから。
信頼を買うのはすごく難しいです。時間が掛かる上に破壊するのは一瞬です。
対して、ブランド力はある程度お金の力でどうにかなります。
だから、よくあるのは最初は安くスタートして実績を積むことで、信頼度やブランド力を上げてから値段を吊り上げていくんですね。
値段には必ずその裏付けがあります。
プラットフォームによる価格の違い
プラットフォームによって、ある程度価格帯は変わってきます。
ヤフオク、メルカリ
ヤフオクだと、どのブランドでも対等に扱われるのと、顧客からはリスクが高い、アフターサービスが適当だ、と思われるので、基本的に値段は下がります。10万円でも値切られることすらあります。
値段には、信頼とブランド力とアフターサービス分が含まれているからです。
反面、オークションサイトはその仕組み上、基本的に欲しい人が出せる最大額で買ってくれるので、タイミングが良ければそこそこの値段で売ることができるでしょう。
TwitterやDealers Denでのオークション
TwitterやDealers Denでのオークションはピンキリ。どうしてもTwitterは運と拡散力が大きくものをいいます。どんなに良い作品でも、インフルエンサーに取り上げてもらえなければ埋もれることが多いです。逆に、自分の拡散力があるなら、運の部分はある程度カバーできるでしょう。
ほんとに売れない時はマジで売れないです。
どうしてもSNSでは伸びにムラが出るので、一回一回のオークション結果に一喜一憂するよりも、平均打点を出せるかどうかに集中したほうがいいでしょう。
伸びなかった時を分析するよりも、伸びた場合の欠点を分析することに集中しましょう。
伸びなかった場合はデータの量が少なく、定量的な評価ができません。
逆に、どんなに伸びた作品でも、必ずどこかに改善点はあります。
個人サイト
個人のブランド力がしっかりと付いてきているなら、個人サイトで売るという方法もあります。
あなたの知名度と信頼度がそのまま売れる金額になって返ってきます。
ただし、これはWeb経由での流入は最初期段階ではほぼ期待できないので、日本国内であれば最初はTwitterなどからマーケティングを始めたほうがいいです。
出来合いのキャラクターを販売するのなら一番自由度が高い場所といえるでしょう。
先に価格を設定する方法まとめ
プラットフォームによって一長一短あるので、自分の作るスタイルに合わせて選ぶといいでしょう。
例の紹介
実際の例を想定してみましょう。
ケーススタディ:絵描きの場合
例えば、絵描きやっててフォロワーが5,000~数万程度あり、元々拡散力があるなら、Twitterをマーケティングの戦場にしたほうがいいです。絵を描くという能力は誰にでも評価されやすい能力なので、今後AI絵が広まれば広まるほど、絵を描ける能力が相対的に評価されるようになるでしょう。
最初のキャラクターは自分のメインキャラを作って、イベントに出して伸ばします。その後、自分でキャラクターデザインを作ってヘッドだけ作り、Twitterでオークションするなどして適正価格を調査していくのが良いでしょう。
フォロワーに海外勢が多いのか、国内勢が多いのか、フォロワーのペルソナはどうか……みたいな部分も分析して戦略立ててキャラクターをデザインしていくといいんじゃないかと思います。
ケーススタディ:個人で制作を始めた場合
これは私の例に近いと思います。
絵が描けないが、個人で制作を始めた場合。この場合だと、着ぐるみ制作技術が伸びるのに数年は掛かります。
絵が描けない人で、歪みをすぐに見極められる目が良い人というのは限られてくるからです。だいたい10人に1人いるかいないかぐらいかな。
なので、数年は下積みする必要が出てきます。100万~200万ぐらいは失敗する予算も必要です。最初の頃はヘッド単体で3万でも売れないようなこともしばしばあるでしょう。
まあ、着ぐるみ制作はレッドオーシャンなので、拡散力も画力もない状態で参入するのは軽い地獄を見ると思います。私がそうです。
個人的にはひたすらキャラを作り続けて、技量が上がってきたら、ある程度知名度のあるイラストレーターさんにキャラクターデザインを依頼して、そのキャラクターを作るとかがいいんじゃないでしょうか。
最初のキャラクターは20~30万円ぐらいで作るとか、あとはパーツ単位から受注を始めるとかだと低価格での受注が入りやすくていいんじゃないかな。どうしても信頼度がマイナスではないにしろ、かなり低い状態からスタートしないといけないので、最初から単価を上げていくのは難しいです。
まとめ
まあ一言で言うと、もう2年前から競争率高くて価格の二極化が起きてるからやめとけになります。これ言って辞める人はここまで読んでないと思うけど……。
相当に要領が良くてクレバーな立ち回りができる人じゃないと、適切な価格設定まで信頼とブランドを築き上げるのは難しいです。
追記:ファンを落胆させない話しは以下の記事が分かりやすいと思います。