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私が紡がなくちゃ【蓮ノ空感想文 「昔もいまも、同じ空の下」】
憧れは劇薬です。
憧れたまま走り続けられますか。
百生吟子ちゃんは職人さんたちに囲まれて育ってきた子です。
自分が生まれるよりも前から努力し続けてきた職人さんをかっこいいと思い、金沢の伝統を好きになりました。
そして、伝統や職人さんを「私なんかよりもずっと価値がある」と言いました。
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「私なんかよりも」という価値観すごく分かる。
私の大好きなものと私、どっちかを犠牲にしなければいけない。そうなったら自分を捨てる。その方がたくさんの人が喜ぶと思うから。何よりそれが好きなもののためになるから。
私は私にできそうなことを細々とやっていく。
日陰で生きる者の誕生。憧れはまぶしすぎる。
自分もこうなりたいと思う。自分と全く違うと知る。
こうして、自分と他人は違うんだと優等生のようにふるまってしまうのです。
吟子ちゃんにとっての職人さんたち、スリーズブーケの梢先輩と花帆先輩。みんなまぶしくって自分よりすごい人って思っているんじゃないかな。
今はそうかもしれないけど、いつかは胸張って並べるようになれたらいいな。
加賀繍の職人になるには何年も修練が必要だと知りました。ひと針ひと針すべて手作業です。糸を準備するのもデザインを考えるのも自分で行います。
身につける技能も知識も素人には計り知れないものでした。
初心者と熟練の職人さんでできることが違うのは当たり前のこと。それでも、いいものを作りたいと思いを込めるのは同じではないでしょうか。
今できるものに納得はできないかもしれない。みんなそれを繰り返してきたんだと思います。
誰だって初めは初心者で、それでも理想を目指してるんです。私ももっとおもしろい文章を書きたい。
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理想とのギャップでやめたくなる?そんな問いに吟子ちゃんは答えをくれました。
「私のために、ラブライブ!を優勝するんだから!」
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私のために私ががんばる。
明日の私へ、憧れた気持ちをつなぎたいから、怖くても踏み出す。
そうして紡いだものが喜んでもらえたらこれ以上の喜びってないはずですよね。
スクールアイドルクラブのつなぎ手も次第に代わっていきます。吟子ちゃんの番がいつかやってくる。
その時に吟子ちゃんに憧れ、スクールアイドルクラブに憧れ、金沢の伝統に憧れる子がいますように。
吟子ちゃん応援しています。
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