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ピアノ練習008

 前回まで、トンプソンの小さな手のためのピアノ教本を修了しました。今回からは、その続巻にあたる現代ピアノ教本第1巻を進めていきます。

手の位置(ハ長調)フレーズ「ピアノのくに」

 記念すべき第1曲。4小節のフレーズ2つで構成された短い曲です。ただし、女声と男声の2つのメロディーが対になって並走する点で、導入書の曲と大きく異なります。演奏の側面から見ても、右手と左手をほとんど片方ずつ動かすだけでよかったこれまでとはまったく別の能力を求められます。
 脳で複数のタスクを同時に処理することを強いられる感覚。パンクを避ける策として、繰り返しの練習や言語化、記号化による楽曲の理解によって自動化できることを増やし、処理に割く容量を減らすことを考えます。
 まずは各メロディーを指と耳と口で覚えて、考えなくても指が動くように。練習によって最も圧縮できるのはここでしょう。それから表情の肝となる強弱を、楽譜に書き込むことにしました。書くことはすなわち決めることで、毎回なんとなくで弾くのではなく、自分で一番良いと思う表情を結論付けたうえで演奏する。その方が技術の再現性を測る面でも望ましい練習ができるでしょう。
 と、勇壮に語りましたが、こんなに易しい曲でも実践でイメージの100%の音を出すのはできていません。とにかくテンポが崩れやすいので、そこに処理能力の4割、譜を見て続く音をイメージ、音を出すための身体の操作、出た音を聴くのにそれぞれ2割ずつといったところでしょうか。
 ちなみに、新しくテンポ記号が与えられていますが、遅すぎるので気にしていません。拍子も4分の4拍子ではなく勝手に2分の2拍子で自分が数えやすくしています。

今後

 週末にイベントに参加することもあり、今回は1曲だけに絞って練習をしました。続巻に進んでの1曲目ですが、複数の旋律を同時に演奏することが、これまでの練習とまったくの別物であることを思い知りました。全50曲、難化していくことを考えると、修了まで1年かけるつもりでいた方が良いかもしれません。
 演奏のクオリティを妥協して曲を進めることを優先する手も浮かびますが、今回苦しめられ、この先も最も苦労しそうなマルチタスク処理の能力向上を先延ばしにするのは気が引けます。こと強弱やタッチについては簡単な曲のうちから意識しておかないと一生身に付く気がしませんし、あとになってから初等の曲に戻るのは退屈で身が入らないだろうという懸念もあります。(教本のページをめくって)1年続けてもまだこのレベルかと思うと気が遠くなりますが、まあ気長にやっていきましょう。入門の教本にもかかわらず、一つひとつ真剣に向き合えるだけの美しさをそなえた曲を書いてくれた著者に敬意を表します。

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