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ピアノ練習055

 トンプソン第2巻、7曲目。今回も1曲仕上げるのに2週間かかりました。

バレー「時のおどり(ラ・ジョコンダ)」

 4分の4拍子、ハ長調。古典バレエの曲で、イタリアの作曲家ポンキエッリによるとのこと。更新が1週空いたのは他でもない、難しくて全然弾けなかったからです。動画にするまでに間違いなくこれまでで一番練習した曲です。
 右手のポジション移動が頻繁すぎる。アーティキュレーションを抜きにしても、音符どおりにゆっくり正しく弾ききるだけでそうとうに苦労しました。
 練習にあたって、いくつか意識改革を迫られました。まず、これまで跳躍をする時は鍵盤を見ることが多かったのですが、今回から基本は譜面を見続けるように変更。というのも、短いフレーズで繰り返し跳躍をするこの曲では、いちいち手元を見ていては、譜面との視線の移動が間に合わず、結果譜面をほとんど見ないことになるためです。今後もっとアップテンポで難しい曲を弾いていくうえで、よい演奏をするために暗譜をするのではなく、暗譜をしないと演奏ができないというのは問題かなと。
 当然ながら、ミスタッチが頻発します。これまでは目視で跳躍幅を定めていたところ、周辺視野と要所のチラ見こそ活用しますが、基本は身体の空間的な鍵盤感覚に頼ることになります。これを磨くためにひたすらに分解練習。音を外しまくります。つらい。ちょっとできてきたかなと思ってきても、テンポを上げたり、両手にしたり、パートを長く取ったり、他のパートを練習したり、日付が変わったりするたびに、また外します。とてもつらい。
 また、ポジション移動は、読譜そのものも難しくします。指番号を読むだけで良い基本ポジションだけの曲とは、勝手がまるで違います。正統的な方法なのかは知りませんが、跳躍の前後で何度移動しているかの音程にほとんどの意識を向けるようにしました。跳躍のフローを、①譜面を見る→②音程の認知→③身体感覚による跳躍幅の推測→④跳躍動作の実行としたとき、音程と跳躍の移動距離が1対1で対応するために、②と③の接続がスムーズになります。目視で移動先を定める際にはドレミ(ABC)の情報も有益なのですがね。ただ、よくよく考えると、既知の曲の場合、①と②の過程は(相対)音感が完璧なら不要になるのかもしれません。少なくとも大いに助けにはなるはず。音感、良くしたいね。
 新しく考えることがいっぱいで、演奏中の脳みそは常にパンク状態です。自分の演奏を聴くことは大事だとよく聞きますが、それにしてもわたしは「さっきのあそこちょっとミスっちゃったなあ」とかいつまでも引きずってしまいます。とにかく先へ!先へ! 未来の音だけを考えるくらいの意識が自分にはちょうどよいかもしれない。
 課題曲とは別に、帰省で学んだスケールも引き続き練習しています。10分といったごく短時間の練習であれば、むしろこちらを優先しています。まだハ長調だけですが、こちらは進歩を感じられているかも。

今後

 このごろの曲の難化に伴って、ピアノに割く可処分時間がどんどん増しています。それでもいよいよ週1更新が間に合わなくなってきました。曲が難しくなればいずれは自然なことだと思ってはいましたが、まだ第2巻の序盤……。
 音楽の授業が大嫌いだったことはどこかにちらっと書いたかもしれませんが、そういえば楽器は何をやってもほんとうに下手でした。いくら練習しても上達が感じられなかったら、それはさぞつらかっただろうし、嫌いにもなるよなと、記憶の封印を解いた思いです。自分にはできないことがたくさんあると知ったいまだからこそ、続けられている気がします。
 趣味に打ち込めるってすばらしいことだと思う一方で、もう少し芽の出るものでないと時間が惜しいような葛藤があります。己の非才さを知ったうえで、だからこそ粘り強く続ける、それでも明日の自分を信じられる、そんなおとなになりたい。

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