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フリーランス、働く相手をどう見極める?

ピースの小沢あやです。 ポットキャスト番組「働く女と◯◯と。」を始めました。30代共働き育児中の編集者、小沢による働く女性をゲストに迎えたトークプログラムです。番組内容の一部を、noteマガジンでもご紹介します。

初回のゲストは「わたし、定時で帰ります。」などのヒット作で知られる小説家の朱野帰子さんです。トークの全貌は、ポッドキャスト本編でお楽しみください。

小説家・朱野さんがチームを作る上で大切にしていること

小沢:仕事のチームを作る上で、朱野さんは何を一番大事にされてるんですか?
 
朱野:すごく難しいんですけど、今の社会について勉強してるかどうか。あとは、これも自分自身にも言えることですけれども、どれだけ真面目に仕事をしようとしているか。

でも、これが難しい。真面目だったらいいかっていうとそうじゃないっていう。たとえば、「わたし、定時で帰ります。」に出てくる三谷さんっていうキャラクターは、長時間労働派なんですけど、とにかく真面目な人なんですよ。

 
小沢:物語のネタバレにならない範囲で言うと、三谷さんは咳が出ようが、熱っぽかろうが出社してしまう方なんですよね。
 
朱野:ただ、上の言うことをとにかく真面目に遂行する。だけど、上の言うことを真面目に遂行していても(必ず)いい結果が出るわけではない。私も常に考えはするんですけど、なかなか100パーセントうまくはいかない。でも、補い合えるぐらいは、真剣に考えてくれる人じゃないとね。目を背けたくなるような問題を一緒にジッと見てくれるし、言いづらいことも言う。そういう感じの方が、アジャイルな感じになるんです。
 
小沢:確かに。我々の仕事で言うと、作家と編集者の関係ってちょっと特殊ですよね。対等ってよく言うけど、対等ではないような気がして……。やっぱり作家さんを立てながら、でもちゃんと言うべきことは言わなきゃいけない。だから、バランスをうまく取りながらも、自分の言葉で「なぜこの人と一緒にこの仕事をしたいのか」が言える人じゃないと、なかなかしんどいですよ。
 
朱野:しんどいですね。でも、編集者さんもたくさんの作家を抱えているから、全員に同じ熱量で行くのが難しかったりとか、たまたま私の担当を押し付けられただけなのかもしれないとか、色々あるんですけど。結果が出た時の、あのチームはどういうチームだったかっていうと、やっぱり編集者さんがいろんな意味で本気だった。私の書いたものに、感情的な感想というか「これは違うと思う」って言葉をくれたりしたんですよね。そういう方だと私は仕事が早く進む。
 
小沢:本当に相性ですからね。個人事業主であればなおさら、誰と働くか、どう進めていくかっていうすり合わせが、結局その後の仕事に直結する。

「わた定」を書くことが、自分自身の働き方を見直すセルフカウンセリングに

小沢:ちなみに、「わたし、定時で帰ります。」を書く前と後、心境的な変化で一番大きかったことはなんですか?
 
朱野:私は新自由主義の申し子なので「とにかくたくさん働く、サバイブする。生き残るためには、誰よりも働かなきゃいけないんだ」っていう気持ちに支配されていたんですよ。
 
小沢:「恐怖」がすごく大きいって、いつもおっしゃってますよね。
 
朱野:大きいです。だから「子どもが生まれました。仕事があまり出来なくなります」っていうことに対しても、すごく恐怖があって。「わたし、定時で帰ります。」第1作の2話に出てくる賤ヶ岳さんっていうワーキングマザーが「子どもができたけど、私は残業できる」って、すごい主張するキャラクターなんですけど、まさにああいう人間だったんです。
 
小沢:(頷く)
 
朱野:で、まあなんとかそれでできてきちゃったっていうところもあって…… だけど、やっぱり作品のプロットを作っていく時に、主人公の東山結衣っていう「絶対定時で帰る!」っていうキャラクターが出てきて。「もしかしたら、私の中にはもう一人、自分のペースで生きていきますっていう人間がいるんじゃないか?」と気づいて。
 
小沢:どっちも、朱野さんの中にあるキャラクターなんですね。
 
朱野:そうですね。最初はそんなに意識してなくて、「こういう絶対定時で帰えるキャラクターがいると、話が進みやすいな」ぐらいの感じで作ったんですけど。結衣のセリフを考えるときも、「疲れた時、休みたいです」っていう人間として、当たり前の感情が、こう表にバッて出てきたっていうか。小説を書くことで、ちょっとセルフカウンセリング的な感じがすごくあったと思います。

トークの全貌は、ポッドキャスト本編でお楽しみください。ポッドキャストは毎週水曜日更新予定です。感想はハッシュタグ「#働く女と」でつぶやいていただけるとうれしいです。

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