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「『私なんか』より『私らしく』。30代の今が、一番楽しい」
お祖母様が熱心な『婦人公論』読者で、幼少期から本誌を読んでいたという小沢あやさん。編集者として多くの連載を抱え、著名人へのインタビューも担当されています。「昔は、年齢を重ねるのが本当に怖かったんです」と語る彼女が、30代になって前向きに働けるようになった理由とは──。
(構成=小沢あや 撮影=飯本貴子)
というわけで、婦人公論大好き過ぎるので、婦人公論風の文体で、自分で自分のインタビューを書いてみます。ノリノリで自作自演! noteマガジンに入れてますが、もちろん無料です。では、どうぞ。
他人の「圧倒的な才能」を目の当たりにして
今年、33歳になりました。勤めていたIT企業を勢いで辞めたのは、2年前のことです。現在はフリーランスで働いています。決してお金持ちではないけれど、ありがたいことに毎日ごはんを食べて、好きなお洋服が着られる程度にはお仕事をいただいています。
自分の仕事に、自信はあるんです。ただ、常に「私はなんて平凡な人間なんだろう」と思っています。インタビューなどで、著名人の方のお話を聞く機会が多いですし、面白い書き手の方の原稿にも、毎日触れています。素晴らしい作品を生み出す方々の圧倒的な才能や知識量を目の当たりにするたび、差を痛感させられるのです。
平凡な人間だからこそ輝ける仕事がある
20代のときは、悔しい気持ちでいっぱいになることばかりでした。ただ、今は年齢を重ねて、心も体も丸くなり(笑)、リラックスして働くことができています。
自我も弱まって、やっと気がついたんです。なにも自分自身が面白い人にならなくてもいい。私の仕事は、目の前の人の才能をリスペクトし、素直な姿勢でお話を伺い、魅力を伝えることなのです。
さまざまな物事に興味を持ち、「なぜ?」を深掘り出来るのであれば、それで十分なんです。昔の自分には「あなた、どうしてすごい人たちと同じ土俵に立とうと思ったの?」と、言ってやりたいですね。きっと、答えられないと思います(笑)。
専門性が求められる仕事ですし「小沢さんは結局、何がやりたいの? 雑多にやってちゃだめだよ」と、先輩から言われてしまったこともあります。でも、今となっては、ジャンルにこだわらずになんでもやってきたことが、精神的に良かったと思っています。きっと、なにかひとつの領域に絞っていたら、「この中で一番になれないなんて」と、心がしゅるしゅる萎んで、潰れてしまっていたと思うんです。
もちろん、全ての情報を網羅するなんて、到底無理なことです。凡人なら、なおさらですね。「ならば、周囲から情報が集まる人間になろう」と思考を転換してから、仕事がうまく進められるようになりました。平凡な人間だからこそ、常に謙虚でいることも大切だと思います。勉強は一生していかなければならないけれど、わからないことはすぐ調べたり、取材したりすることを、習慣にしています。
「私は平凡な人間である」という事実はずっと変わりませんが、気持ちの面では、とてもポジティブに捉えられるようになりました。むしろ、今では「平凡で良かった!」とまで思えるようになったのです。記事や広告制作の現場では「一般の方々が抱える悩みは何だろう?」と考えることも多いんですね。私がなんでもできる超人だったら、いちいち悩まないでしょうし、きっと出す企画も浮世離れしてしまうでしょう。「仕事を楽しく続けられているのは、悩みが尽きない凡人だからなんだ」と実感しています。平凡に生まれて、ラッキーですね(笑)。
ときには矛盾も受け入れて。年齢を重ねるのが、今は楽しい
22歳の頃から商業メディアで、ディスクレビューやライブレポートなどの記事を書いていましたが、自分の企画をどんどんやらせてもらえるようになったのは、会社員時代に趣味で書いていたブログがきっかけでもあるんです。アラサーOLの生活を自虐的に綴った記事を読んでくださったあるメディアの方が、「コラムを書きませんか」とお声がけくださいました。東村アキコ先生の漫画作品『東京タラレバ娘』が大ヒットしていた、2015年頃のことです。
時代の流れもあったのだと思います。数本記事を書いているうちに、思考が変化しました。年齢やライフステージ、容姿を自虐する自分に違和感を持つようになったのです。自分の言葉は、やがて自分に返ってくるもの。負債を生産するなんて、ナンセンスではありませんか。もちろん、言葉は残ります。「あの時はああ思っていたくせに、何を綺麗事を」と、たまに思い出してつらい気持ちになることもあるのですが、自身の矛盾を受け入れ、成長していこうと決めました。
「私なんか」と卑屈になるより、「私らしく」堂々と生きる方が、人生は豊かになる。そうはっきりと言い切れるようになった30代の今が、一番楽しいです。
<小沢あや>
編集者・コンテンツプランナー
大学卒業後、音楽レーベルでCD営業とアーティストPRを経験し、IT企業を経て2018年に独立。エッセイのほか、女性アイドルやミュージシャン、経営者のインタビューを多数制作。「ワーママのガジェット育児日記」「フリーランスな私たち」「きのう何作った?」など連載中。豊島区公認の池袋愛好家としても活動している。
勝手に編集後記
婦人公論が、好きです。最新号のテーマ「私らしく生きる、働く」に合わせ、表紙を飾った気分で書きました。途中から気分が盛り上がってきて、ちょっと語り口調(文体)がマダム風になってきたので、楽しかった。夫(家族)への感謝パートを入れたら、もっとそれっぽくなってきたかも。
聞き手が黒子に徹した、インタビューが面白くて。語り手純度100%のコンテンツが、いつも楽しみなんですよね。
婦人公論文体を研究してわかった、インタビュー構成のポイント
改めて記事を研究してみると、なぜ婦人公論のインタビューがスラスラ楽しく読めるのか、よくわかりました。
インタビュアーは完全黒子、ひとり語りテイスト(ノイズがない)
取材対象の弱みから入り、中盤にかけてだんだんと前向きに
読者の背中を押す、明るい読後感
本人の口調に合わせて、読みやすい範囲で口語を活かしている
表記は記者ガイドブックに寄せるが、厳守はしない
過去エピソードには具体的な人名(家族含む)を出す
スキャンダル経験などがある方の場合、誠実な反省文パートも設ける
でしょうか。いやー、ほんと勉強になります。私、聞き手の尺が長すぎたり、距離感が馴れ馴れしいインタビューが本当に苦手(意図的に原稿でカジュアルにすることはあります)。だから、婦人公論が好きなのかも。山口もえさんの記事がとくに素晴らしかったです。ひとり語りテイストの記事でも、「え、○○ですか? ○○は……まだ考えていないです」などのセリフを活かすことにより、無理やりトピック急旋回も可能だということもわかりました。
SNS運用もマメで、過去にインタビューしたタレントさんがTV出演する際に過去記事も再掲載しているし、事件事故関連も初公判に合わせてPOSTしています。私もまだ読んでなかった情報に触れられることが多くて、とてもありがたいなと。外から推測するに、ワンオペっぽい空気なので、中の人の愛がすごいんだろうな。
昔は「私の文体(らしさ)」がとくにないの、書き手として致命傷なんじゃ? と思ったけど、媒体のトンマナに合わせるのも仕事なのでね。カメレオン的にやれるのも強みなんじゃないかしらと。
あー、面白かった。現場からは、以上です。
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