誰も知らなかった祖父の足跡を辿りたい
家系図制作に本格的に取り掛かってから母方の祖父が戦場に行っていたことを初めて知った。
離れて住んでいるため年に1度か2度しか会わなかった祖父は私が20歳になると同時に亡くなったので、過去の話を聞く機会がなかった。祖父の娘である母も、20歳になるかならないかで家を出てしまったので祖父母の馴れ初めや過去の話はほとんど聞いていなかったそうな。
祖父が亡くなり、しばらくしてから母方の実家を訪れた時、居間に見慣れないものがあった。それは、どう見ても軍帽を被った若き日の祖父の写真が添えられた、祖父の経歴書だった。
じいちゃん出征してたの????
初耳すぎた。なんなら母も知らなかったのだから私が知るはずもないのだ。
どうやら田舎の老人の話を聞いて経歴を書き起こしてまとめるのを仕事にしている人がいるらしい。そういう人に作ってもらっていたらしいのだが、同居親族は誰もよくわかっていなかった。文面を見るかぎり、存命中に作ってもらったようだ。
長女だった母も、同居していた母の弟一家も、誰も祖父が出征していたことを知らなかったが、写真を整理していたら陸軍のバイクに乗っている祖父の写真が出てきて出征の話が真実味を帯びてきた。
経歴書の文面にはどこの部隊だったかの記載はなかった。忘れてしまったのか、書き残したくなかったのか。それはわからない。
しかし孫娘は知りたいことはとことん調べるたちなのである。すまん祖父よ許しておくれ。
祖父は一兵卒だったようなので、国会図書館の記録には名前が残っていない。陸軍での軍歴を調べるには本人の本籍地に保管されている「兵籍簿」を開示してもらうのがいいようだ。
地元自治体に兵籍簿に関するページがあったので速攻書類を送りつけようとしたが、開示申請をする前に電話または電子メールで保管の有無を確認せよとの一文があった。あぶな!
まずは問い合わせに必要な情報を整理して、話はそれからだ。