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ちゃんと生きていたんだなあ、私。
この前の地震のこととか、児童館での子どもの話とか、3.11のこととか、記しておきたい言葉や気持ちがたくさんあるのだけど、今はそれをおいといて、残しておきたい。
今日、1年ぶりに、駄菓子屋を開店した。
コロナで、落ち込んだ気持ちを取り戻すのに随分と時間がたってしまった。
1ヶ月前くらいに、久々に常連の子どもに会ったとき、「コロナでずっとお休みしてるんだよ。いつもやってるとこは、おばあちゃんたちが来るとこだしさ。」と言ったら、即座に「そんなの言い訳だろ。」と返された。
その言葉がすごく、グサッと来た。
たしかに。私、やれない理由探してたかも。
あの場所でなくても、やる方法はあるのに。
駄菓子屋をやり始めた理由とか、そこで繋がっている子どもたちのこととか考えると、すごく悔しくなった。
あともうすこしで石巻を出ると決めているのに、このままじゃだめだと思って、やっと、いつもお借りしている場所のお母さんに連絡することができた。
電話すると、3月は貸さない予定。と言われる。
震災から10年だし、コロナもまだ落ち着いてはいないから。とのこと。
でも、私にはもう時間がない。
4月には石巻を旅立つことを伝え、3月にやらせてもらいたいとお願いした。
すると、3.11をすぎてからならいいよ。と言ってくれた。
1年前に駄菓子屋を休みはじめてからも、だがしやをやっている月曜日は、毎週休みにしていた。
やっと、再開できるぞ!!!
と、意気込んではいたものの、なんだかんだバタバタして、誰にも告知をできないまま今日を迎えた。
さらに、いつも来てくれている子達の小学校で、コロナの感染者がでて、明日まで休みという状況。
今日は誰も来ないだろうなー。でも、やることに意味がある!と思い、仕入れをして、駄菓子を広げて、天気がいいので、お店の外で日向ぼっこしていた。
だがしやが出来る、その嬉しさに1人感極まりながら、駄菓子の問屋さんからもらった缶コーヒーを飲んでたそがれていた。
すると、場所を借りているおじいさんが通りかかり、久しぶりだねー今日やってたんだ!と話しかけてくれた。
この一年の話、震災の話、変わっていくまちの話、短い時間で色んな話をしてくれた。私がどこから来たのかもなぜやっているのかも覚えていてくれた。
あー、私、このまちで生きてきたんだなって、嬉しかった。
すると、駄菓子屋を始めた頃から、子ども店長をしてくれている、中2になった子が、学校から帰ってきた。
今日はたまたま部活が休みで早く帰ってきたらしい。
またまた久しぶりだねー!なんて話をして、あとで来るねーと言ってくれた。
そのあとも引き続き、日向ぼっこをしていると、いつもやって来る前の家の子のお母さんが帰ってきて、久しぶりですー!やってたんだー!うちの子たち呼んでくるねー!と言って、子どもたちを連れてきてくれた。
子どもたちは久々だからか、照れながらやってきて、お菓子を選んで帰っていった。
お母さんとは、いつもよりも色んなことを話した。
帰り際、みんなにもだがしややってるの言っとくね!と帰っていったのが、すごく嬉しかった。
三兄弟で一番上の子は、来なかったが、他の子達が帰ってから、一人やって来た。
恥ずかしいからって、お母さんと。
無言でお菓子を選んですぐ帰っていったが、あとでお母さんが、「自分で行きたいっ言って来たんです」と教えてくれた。
うれしいなあー。
その後、子ども店長がやってきた。
中学校の話、休校中の話、出会った頃から今までのこと、いろんなことを話した。
久しぶりだからか、中学生になったからか、ときおり敬語で話すのが、なんだか面白かった。
私が石巻を離れることを伝えると、「突然復活したと思ったら1ヶ月後にはいなくなるなんて、、」と笑ながらも寂しそうにこたえてくれた。
ほんと、自分勝手だよなあーと思いつつ、でもこんな大人とか、生き方があるって思ってもらえたら嬉しいなあなんて、さらに自分勝手なことを考えていた。
あっという間に5時になり、片付けをして店じまいをした。見えなくなるまで、店長は見送ってくれてた。
久々に、その地域に行ったので、様子を見ていこうと、前の団体で遊び場をしていたところや、慰霊碑がある場所へ寄り道した。
街並みはどんどん変わっていく。新しい家が建って、新しい道路ができて、空き地は整備されている。
きれいになって便利になる嬉しさと、変わっていくことへの寂しさを感じた。
帰り道、常連の子たちの家の前を通りながら、元気にしてるかなあと思っていると、子どもが歩いていた。
よくみると、常連の子でいつもやんちゃな子だった。思わず車を止めると、その子も気づいてくれて話してくれた。
姉ちゃんにいまパシられてたんだよね。と笑いながら、自販機で買ってきたコーラを差し出す。
今日からだがしや復活したんだというと、嬉しそうな顔をして、でも俺いま外出られないからなー。明日はやってんの?と言う。
明日はやってないけど、来週はやってるよ。というと、やった!姉ちゃんにも言っとくね!といってくれた。
それから、卒業の話や兄弟のこと、最近好きなことまで5分もしない間にばーっと話して帰っていった。
あー、かわいい。出会えてよかったなあ。と思う。
だれにも会えないと思ってきた今日、思いがけず会いたかったひとたちに会えた。
そして、待っていてくれたこと、覚えていてくれたこと、誰かに伝えようと思ってくれること、嬉しすぎて、車のなか泣きながら帰った。
私、誰のこともしらずに、このまちにやってきて、あとのことも考えずにやりたいと思ってだがしやを始めて、自分勝手にやる頻度とか変えたり休んだりしてきたのに、こんなにたくさんの人に恵まれてるなんて、ほんとに幸せだ。
このまちに、ちゃんと、生きてたんだなあ。私。
それがすごく嬉しい。
そして、自分勝手にまたこのまちを去っていくけど、いつかどっかであんな人いたなとか、だがしや行ってたなとか、思い出してもらえるのであれば、もうじゅんうぶんすぎる幸せだ。
私の顔も名前も覚えてなくていい。
ただ楽しかった思い出がみんなの中に残っていると嬉しいな。
だから、悲しい思い出や悔しい思い出にならないように、最後まで子どもたちと、自分勝手に楽しみたいと思う。
今日も1日、しあわせだったな。
みんな、ありがとう。