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暑さと熱さ

今年の年始、高校時代からの親友と会った。
高校〜大学卒業とずっと一緒だった彼女は、昨年から東京で働いている。

長く一緒だったからこそ、喪失感がありつつも、お互いが進みたい道へ進み、お互いを尊敬している。

彼女と私とは、似ているところより、違うところの方が多いかもしれない。でも、とっても意思が固くて、どんな人にもストレートにものを言えて、自分にないものをもっている彼女は、私に必要な人。

物理的な距離は離れても、定期的に連絡を取り、年末年始、お盆などは直接会いたいなと思える人。

そんな彼女と年始に会った時、ゴールデンウィークの話をした。

『どっか行かない?』

と言われ、大賛成した。断る理由がなかった。大学の卒業旅行は2人で京都に行った。遠く離れた地に2人で行くことはとても新鮮で、すごくいい思い出になったから、また一緒に旅に行きたいなと思っていた。

すぐさま私は、気仙沼に行こうよ、と言った。ずっと行きたかった場所があったから。

そしてその日に予約まで全て決めた。なんと行動力のある2人笑その辺の息はぴったりなんだよね。

私が行きたかったのは、ある民宿。女将に会ってみたいという気持ちがずっとあって、今だ!と言わんばかりに大事な人と行けることになった。

私は人が好き。そして、テレビやSNSで女将のことを知り、この人に会いたい!と直感が動いた。ビビビって。

働いてから知り合った気仙沼の人におすすめを聞いたり、素敵な場所を紹介してもらったり、女将に会いたいなと思って泊まる場所を決めたり。『人』を中心に計画を立てられる旅は初めてだった。そして、それが私にとって、とても、とても、大きくて、嬉しくて、計画を立ててる時点で高揚感が止まらなかった。

敢えて、細かく計画は立てなかった。余裕があった方が臨機応変に動けそうだから。素敵な景色をもっと見てたい、と思うかもしれないし、もっと食べたいもあるかもしれないし、もっと話したい!となる可能性が大きいと思っていたから。

早くゴールデンウィークにならないかな、と待ち遠しくしていた日がやってきた。本当に天気に恵まれた2日間だった。暑かったな。でも、おかげで驚くくらい綺麗な景色が見れて、胸が熱くなった。

車を走らせながら、渋滞すらも楽しかった。久々に会った彼女と色んな話をして、2人が苦手だった高校時代の世界史の一問一答をしたり、短期記憶ってこんなに忘れるんだねと笑ったり。ここ行って、次はここだねと何度も何度もプランを確認したり。全てがいい時間だった。

お洒落な定食屋さんで美味しいご飯を食べて、道中でたまたま見つけた地元のお菓子屋さんに入ったり、太鼓の音が聞こえれば地元の子供達のパフォーマンスを見たり、時間に余裕を持ってたからこそ様々な場面に出会えた。

そして1番の目的地、女将に会うために行った民宿に着いた。初めて会ったとは思えないくらい、温かい人だった。声を出すタイミング、大きさ、トーン、表情、醸しでる雰囲気、それら全てが重なって女将が作り出されていた。そして、そんな女将が中心となり、他のスタッフさんも本当に優しくて、その空間全てがアットホームだった。実家とは違う、もう一つのお家、そんな感じ。

他人だからこそ話せること、他人だからこそ保ちたい距離感、自分の中に様々な感情が、気づきがあった2日間だった。

そして、何よりも民宿からの景色が全て綺麗だった。きらきら輝く海、普段見れないくらい満天の星、見たことのないくらい壮大な朝日、また来てねと大漁旗を振って見送ってくれた女将たち、民宿の建物、その全ての景色を見て、自分の中にゆっくりと、じわじわと、溢れ出る何かがあった。言葉に表すのは難しいのだけれど、自分に足りなかった何か。感じたことのない何か。

地元の人があの土地の全てを大事にしているのも感じ取れた気がする。

景色だけでなく、海の幸も沢山食べれて、目も心も体も満たされていた。

そして、予約していたサウナに入った。サウナは、働いてから特に周りの友達がとてもハマっていて、気になってはいたが、のぼせやすいこともあって中々チャレンジできてなかったものの一つだった。だからこそ、これを機に、えいや!っとサウナを予約した。なんだか、ここでサウナに入ってみたいと思えたから。

サウナは、ミニバンの中が改装されてできていて、水風呂も外気浴も全て貸切。私と親友の2人の空間だった。美味しい湧き水も用意されていて、準備万端。19時から22時まで、3時間ずっと入っていた。初めてなのに3時間も、サウナ→水風呂→外気浴を10セット以上繰り返していた笑

自分たちでも少し驚いた。でも、それくらい素敵な時間だった。サウナの中はとても暑くて、複雑な思考が中々できなかった。だからこそ、自分の芯の部分を話せた気がする。

2人で様々なジャンルの話をした。

仕事のこと、これからのこと、高校のこと、大学のこと、恋のこと、夢のこと。高校の校歌や応援歌を歌ったりもした。なんだか、青春って感じだった。

これだけ一緒にいるのに、初めて聞いたこともあったり、働いてからお互いに生まれた気持ちを語り合ったり。凄く大事な時間になった。

そして何が最高かというと、外気浴をした時の満天の星。あんなに綺麗な星を初めて見た。プラネタリウムでしか知らないくらいの、満天の星。写真にも残したけれど、やはり、自分の目に映った星が忘れられない。これからの2人のことを応援してるのかな、と2人でクスッとして、寝ながら見ていた。

でも本当に今回の旅で見た景色、出会った人はこれからの自分の背中を押してくれるものになると思う。

たくさんの人と話ができた。それが大きかったのかな。

そして、何よりも

気仙沼のおすすめを教えてくれた人、ラーメン屋さんの列でお話した人、ガソリンスタンドで対応してくれた人、民宿の女将とスタッフさん、同じ日に泊まった福島の人、神社に行った時に知り合った人、この旅で関わってくれた人全員があたたかかった。

あたたかいって、何かなと考えているけれど、誰かの優しい言葉や励まし、心遣いを嬉しく感じて、胸の奥が小さな幸福感で満たされるような感覚のこと、がしっくりくる。

優しさとはまた別の感じ。優しさを通して、自分が変われた感じ。こんなに心が動いた旅は初めてだった。それだけ人が好きなんだな。私には本当に人との出会い、関わりが大切なんだな。新しい気づき、新しい学び、新しい感情で溢れた2日間。そして、分かっていたことだけれど忘れていた自分への気づきもあった。

もっと色んな人と出会いたいし、もっと色んな人とお話してみたい。そして、今周りにいてくれる人をもっと大事にしたい。

そんな気持ち。

心が動くってこういうことかな。

生きてきて1番良い旅だったな。
2024年5月3日、4日。
思い出の日。

また明日から。自分らしく。

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