田舎暮らしの大敵

移住してすぐ、黒い点を見つけたら、
すかさず二度見
するという癖がつくようになった。

自分の中では「癖」どころではなく、
立派な病気として扱いたいくらいだった。

可能ならノイローゼの分類に含めさせてほしい。


なんと言っても・・・
田舎暮らしのハードルといえば、虫が苦手という人も多いだろう。

私は、移住といえど、育ちは田舎だったのでその点慣れていた。
カムバック、虫のいる日常。

あぁ懐かしいぞ。かかってこい!という具合に強気だった。


だが。
古民家には暮らしたことがなかった。ここは盲点であった。

かつ、
子どもの頃に培った、「虫への免疫」を過信していた。

移住した頃、とにかく、虫が出てきた。
しばらく人が住んでいない古民家だった。


古民家は、構造上?なのか、本当に虫が簡単に入りやすい。

おまけに立地も。
家の裏はすぐ山で、こちら風でいえば「山を背負っている家」だ。


私が子どもの頃に培ってきた虫に対する免疫というのは、

屋外で発見するような、
いわば「適材適所の虫」に対するものだった・・・。

でも古民家は平気で屋内に出まくる。
百歩譲って。玄関先や水周りにいるのはわかる。

古民家の虫たちは、自分の方が長く住んでいたよと言ってくるように
家を駆使し、縦横無尽に暮らしている。


予想外の場所で・・・予想外のタイミングで・・・現れる。

うがいをするのに上を見上げたら、前上の天井にいたり。
(この時ばかりは、漫画のように飲み込むところだった。)

ふわふわとした白い物体が浮いていて、埃かと思ったら虫だったり。

家に帰って灯りをつけたら「おかえり!」って感じで居座っていたり。

階段を上がる矢先、数段先に待ち構えていたり。

虫たちは、大体が黒い系統の色をしていて、

屋外と違って、
家にいると「見つけてください!」と言わんばかりに一際目立つ。

すっかり私の脳では
黒い点は全部虫の可能性がある」と学習されてしまった。

しかも厄介なのが、
古民家は経年的に、
黒い点(特に画びょう跡の穴!)や
黒いシミが割とあり、床材の木の模様などさえややこしい。

光の照度もまばらだったりしてよく見えないこともある・・・

これはもう、ノイローゼ級だった。

黒い物体を見ては、それが虫であるか、ただの模様なのか、
わずかでも「黒」がよぎると、近寄って見分けるのに必死だった。

たとえ虫じゃなかったとしても、
「黒」がよぎった瞬間に緊張が走る。その気持ちも返してほしい。


黒い点というのは私にとって大敵となった。



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