思い出のケーキ
このケーキはコージーコーナーのナポレオンというケーキ。
このいちごの時期にしか売っていないケーキです。
中学生の頃でしょうか。
私の誕生日は4月なのですが、母も父も、兄も妹も、ケーキを買って来てはくれませんでした。
まぁ、それはそれで、寂しかったけれど「おめでとう」の言葉はもらったし普通の誕生日をすごしたのです。
数ヶ月後に、妹の誕生日がありました。
その時は、父も母も、兄も、ケーキを買ってきたのです。
その時のみんなの何だか照れたような顔。
嬉しそうな顔。
「なんだよそっちも買ってきたのかよ」
なんて話す声。
私はなんだかいたたまれない気持ちになってしまったのです。
私はこの家に居場所がないと確信してしまったというか
なんだかそんな気分でした。
私だけは透明でした。
最近その話を妹としました。
妹は「全然嬉しくなんかなかった」と言っていました。
そんな私にも、父がこの時期に
「めめはこれだよな」とこのコージーコーナーのナポレオンを買ってきてくれた時がありました。
ケーキを買ってきてくれたことではなく
「めめはこれだよな」という、その言葉が今でも残っているのです。
私がいちごが好きだと知ってくれていること。
めめはこれだよな、と言葉にしてくれること
もちろん他の兄妹や母にもお土産はありましたが
とても嬉しかった記憶。
先日コージーコーナーの前を通った時に、ナポレオンを見つけて思わず買ったのです。
実家の父と母用と、我が家用に。
実家に持っていき、父に
「誕生日には買ってきてくれなかったけど、めめはこれだよなって、買ってきてくれたこと、その言葉が嬉しかった」と伝えました。
オットが、伝えたらきっとお父さん喜ぶよ、と言ってくれたからでした。
何も言ってはいなかったけれど
私の中の色々な傷は癒えないし塊は解けないけれど、
伝えることは大事かもしれないと思いました。
そして久しぶり食べたナポレオンは、またまた色々思い出させる味でした。
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