経済的な火災保険をビジネス構造から考える
こんにちは、HIBI HOMEです
持ち家入居後、固定費はできるだけ小さくしたいですよね
固定費の代表格が火災保険です
賃貸住宅に住む場合と比べると、一般的に持ち家の火災保険の金額は上昇しますし
5年契約で20万円以上かかることもありますから
なかなかの出費です
そこで今回は
入居後から地味にお金のかかる火災保険について
私たちの考えを述べたいと思います
※正確には、夫が妻を説得するために、できるだけ論理的に情報を整理しました(笑)
※あくまで一個人の考え方であり、誰にとっても普遍的に正しいと言える情報ではないはずです。そのあたりご留意いただけますと幸いです
我々は「家の勉強は楽しい!」をモットーに
2023年に高気密高断熱な注文住宅メーカー一条工務店と契約してから得た、家づくりのノウハウを発信しています
性能面は理系の夫が
間取り・デザイン面は妻が中心に日々勉強しています
Instagramでは視覚的にわかりやすく
noteでは言語で体系立ててまとめていますので
よければ他の記事やInstagramもご覧になってください
それでは本編いきましょう
火災保険で元が取れるのか?
保険を契約するときに、まず考えることが
「その保険は元が取れるのか?」
だと思います
そりゃ当然、今まで払った額より少ない保険金しか返ってこないなら
「貯金か投資しとけばよかったじゃん!」
ってなりますからね
実際は家財保険などで
支払った額よりも多くの保険金が返ってきて元が取れた
なんていう話をちょこちょこ聞きます
そういう人たちは勝ち組のように見え
「なんか羨ましいな~」
って気持ちになる人も多いかと思います
でも、本当にそうでしょうか?
また、元が取れれば我々は勝ち組と言えるのでしょうか?
※ちなみに、火災保険トータルでは元が取りにくいようになっています。以下のサイトにもある通り、正味損害率(保険金÷保険料×100)が100%以上の会社はほんのわずかで、一般的には6割くらいしか還元がないイメージになるようです
そもそもどうやって保険会社は儲けるのか?
保険会社からしたら
保険者から集めたお金以上に保険金を支出してしまったり
会社運営にかかる人件費等で保険料を使い切ってしまったら
会社のビジネスが成り立たないように見えますよね
しかしながら、世の中の保険会社は毎年安定してかなりの利益を上げています
※火災保険事業だけに限ると近年は災害続きで赤字のようです。ここでは保険全般に関する話とお考え下さい
こういった状況になる理由としては3つあると思います
・保険者が、案外保険金を請求してこないから
合理的に行動して保険金を最大限請求できる保険者が実際に存在し
保険料を上回るほどの保険金を獲得している人は時折いるかもしれません
しかしながら、そんなきっちり行動できる人の割合はそんなに多くないでしょう
そのため、無駄に保険料を支払うだけの日々を送る保険者の分
保険会社にとっては資金に余裕ができるのです
・保険者が、費用対効果の低い保険に契約してくれるから
保険も種類によっては、元を取ることを期待しない方が良いものがあります
というより、ほとんどのものは元が取れないでしょう
それでも人間はリスクを過大評価しやすい生き物ですから
多くの人は必要以上の保険をかけて
保険会社に多額のお金が集まるシナリオになってしまうのです
・保険会社は、集めたお金を運用しているから
保険会社は、保険者から集めた保険料を投資などで増やしたりもしています
例えば、5年で25万円の保険料を支払っている人がいるとします
たまたま5年後に災害が起きて、25万円の保険金が下りたとします
その人は過去5年間で25万円の保険料を支払っていますが
実は保険会社は
その保険金を支払うまでに37,500円の利益を手にしています
(運用の平均リターンが5%と仮定した場合)
この利益分があれば、保険金の返済資金繰りも案外困らないのです
金持ちは保険に入らない
YouTubeなどを見ていると
ホリエモンさんなどの有名な方が保険不要論を唱えていることがあります
その時の典型的な論調を大雑把にまとめると
「(前記3つにより)多くの消費者は損する側に回っているからだ」
「そんなことやるくらいなら自分で何かに投資して資産を増やせ」
というパターンが多いように思います
確かにこの考え方は的を射ています
保険会社は集めた資金を運用して利益を生み出すわけですから
自分で投資してお金を増やしちゃうのが最も効率的で合理的な戦略になります
ただ、この理論を完全に実践してよいのは
ある程度資産を蓄えた人に限られるのではないかと思いました
自分が自分の保険会社になれるかで考える
資産を持っている人が保険に契約しないことに抵抗を感じにくい大きな理由に
「病気・事故・災害等での生活再建・維持にかかる費用を自分の貯金で負担できてしまうから」
というのがあると思われます
すなわち、保険会社ではなく自分で貯金・投資をして財を蓄え
必要ならば自分の口座から保険金相当の費用を負担する
資産をある程度持っている人は、そういった生活の仕方ができるわけです
これはすなわち
民間企業に頼らずとも自分が自分の保険会社になっている状況だと言えるでしょう
これは中間業者が嚙むことなく、最小費用でリスク対策ができている理想的な状況だと言えます
逆に言えば、保険会社に任せる目的というのは
個人の財力ではどうにもならない出費のリスクに備えること
このように言えるでしょう
ここまでで言いたいことは
保険が必要かどうかは、保険金の代わりになるほどの資産を蓄えているか次第
ということです
もちろん
「生活がカツカツすぎて貯金なんて全然ないよ!」
という人もいれば
「数千万円くらいはこれまでコツコツためてた貯金があるよ」
という方もいるでしょう
(一般的なサラリーマンでも生活スタイルによっては目指せる金額だと思います)
火災保険で返ってくる保険金は最大でも
建物価格程度(高くても5000万円くらい?)ですから
貯金の量によってはサラリーマンでもお金持ちと同じ保険不要マインドで考えても良いのではないかと思います
また、多くの人は
「貯金はゼロじゃないけど建物価格を再度負担するほどの貯金はない」
という状態だと思います
その場合は自身の貯金額に合わせて保険金を調整すれば、保険料を安くすることができます
※ただ実際、各社の見積もりシステムを触って感じたのは、保険金の額を建物価格から動かせないものが多いということです。保険金を下げてコストカットを狙うなら、自身で保険金額を調整可能な保険会社 or 共済等を探しましょう
保険会社じゃなきゃできないこと
とはいえ、一部の保険については、サラリーマンの個人資産程度では辛いんじゃないか?と思うケースもなくはないです
例えば、自宅で火事を起こしてしまったと仮定して
隣家にも火が燃え移ってしまったとします
法律(失火法)上、火災の原因が重大な過失でない場合は
隣家の建物相当額について賠償する必要はないとされていますが
※↓重大な過失とはどの程度か
https://kasai.insweb.co.jp/gross-negligence/
その後もご近所さまとして住み続けることを考えると
気まずさを回避するために
何かしらの補償をしてあげたいと考えるのも自然だと思います
このような場合、火元の施主にかかるお金は自宅+もう1軒 or 2軒分などとなるわけですから
多少の貯金程度では賄えない金額になってきます
こういう時の対策としては、火災保険に個人賠償責任特約や、類焼損害特約というものを付けるという方法があります
このあたりは、保険会社に頼っても良い部分だと私は考えています
一条工務店なら必要性の下がる保険
ここまでで、損害額やその補償額の大きい保険には加入する意味があるかもしれないということをお伝えしましたが
住宅の性能などによっては、その想定損害が小さく、費用対効果が悪い保険になるパターンもあります
保険に加入する費用対効果が悪化するパターンは以下が考えられます
・想定している事故や災害等の発生確率が低いとき
・それが起きた時の保険金が小さいとき
このようなパターンの保険があったら、加入は見送っても良いでしょう
一条工務店は、住宅性能にかなりの自信があるメーカーですから
一般的な住宅と比べると、いくつかの保険の必要性が下がるなと考えています
地震保険
地震保険は、地震による倒壊・損傷でその住宅に住み続けられなくなったりした場合に
当面の生活防衛費として建物価格の1/2を上限にした保険金が下りるものです
保険金は住宅の損傷の程度によって代わり
一部損ですと保険金の5%が支払われます
5%という数字を具体的にイメージするために
例えば住宅価格4000万円の物件に
4000万円の火災保険をつけていたと仮定すると
地震保険金は最大2000万円で
2000万円 × 5% = 100万円
となります
ちょっと少ないなって気がしますよね
地震保険は、損壊度合いが大きいときに影響力が大きくなる保険なのです
それを踏まえると気になるのは
一条工務店の家が大地震でどれくらい損壊するのか
ということですよね
一条ハウスは
全棟許容応力度計算によって最高ランクの耐震等級3を取得しているため
耐震等級3の住宅が大地震でどれほどの損壊を受けるのかで考えれば
地震保険の必要性を考えることができます
よく引き合いに出されるのは、2016年の熊本地震です
熊本地震は、震度7の地震が2回発生するという、歴史的な地震でした
この地震によって、各耐震等級の住宅の損壊度合いが調査されましたが
耐震等級3の家で倒壊しているものはなく
すべて無損もしくは一部損だったとのことです
このあたりの話は、あすなろ建築工房関尾さんの動画が分かりやすいです
もしくは、構造塾の佐藤先生が各動画で繰り返し述べられています
以上から言えることは
一条ハウスに地震保険が適用可能な場面がやってきても、保険金は知れている(最大でも100万円程度)ということです
もちろん、将来さらに大きな地震が来るなどのリスクを考えて地震保険に契約するのは、生活時の安心感にもつながりますし良いと思います
ただ、特に調べることもなく
なんとなく地震保険も入っておこうといったマインドで済ませてしまうと
何のメリットもなく保険会社にお金を吸いとられるだけになってしまうため注意しましょう
風災補償
風災は、自然災害の中で最も支払いの多い項目です
風災に対する保険は、火災保険に加入するだけで自動的についてくるケースがほとんどだと思いますが
その保険金の大小は会社やサービスによって異なると思います
近年、異常気象により台風被害のリスクについてメディアで取り上げられることが多い印象ですが
果たしてここの保険金は大きくしておいた方が良いのでしょうか?
風災による被害の部位は外壁・屋根・窓・外構など様々ですが
窓に関しては一条工務店の家の場合リスクが低そうです
過去に日本で起きた台風で最も風速が大きかったのは1966年沖縄で観測された85m毎秒だそうですが
これに対して一条工務店の窓の耐久性を確認したところ
風速90m毎秒でも耐えられるそうです(すご)
そう考えると、記録的暴風があった場合でもそこまで甚大な被害とはならなそうですね
その他、外壁や屋根も含めた耐風性については
webページ上で特別なアピールはされていませんが
設計住宅性能評価書に耐風等級2と書かれていれば
瞬間風速60m毎秒でも倒壊・損傷しないことはおよそ保証されていると言えます
そう考えると、一条工務店の家で風災によって甚大な損壊を被ることはかなり稀と言えるでしょう
もちろん、風そのものによる被害ではなく
何か飛来物が来て窓が割れる、とかはあるかもしれませんが
倒壊することと比べれば損害額は小さいでしょう
一方で外構は家の耐久性とは無関係なので
それらが損壊を受けるリスクは一般の住宅と同程度と考えられます
これらを踏まえると
個人的には、建物と外構合わせても最大数百万円保険金が下りれば十分ではないかと感じました
必要な火災保険
水害補償
水害補償は、火災保険の基本項目に含まれている場合とそうでない場合があり
ハザードマップが真っ赤な場所や、水害の実績がある場所は、特約加入の必要性が上がります
また、金額の切り口で言えば
以下の写真のように1000万円以上の損害額になる場合が、事例としてはあるようです
これをまかなう貯金がないご家庭は、水害補償の特約を付けることをおすすめします
個人賠償責任保険
前記の通り、隣家等の他者からの賠償請求は
自分の住宅本体の価格とは無関係かつ金額が莫大になるリスクをはらんでいるので
自動車保険などで加入済みでない場合は加入をお勧めします
類焼損害特約
前記の通り、重大な過失でない何かしらの原因で隣家を燃やしてしまったときに
賠償義務はないものの保険金を負担できるようになる特約です
まあ、賠償義務がない場合を想定するのでマストではないのですが
非常に安いことから個人賠償責任保険と同様の理由でつけても良いんじゃないかと思ったりします(ここは個人の価値観で)
最後に
最も大事な火災保険本体の保険金額について言及できていませんでしたが
これまでの議論からもわかるように、各自の資産状況に応じて調整してください
・貯金がないなら建築費用相当
・貯金があるなら少な目
※建築費と同額にしなきゃいけないなんていうルールはありません
以上参考になれば嬉しいです
さいごまで読んでいただきありがとうございました
我々は「家の勉強は楽しい!」をモットーに
2023年に高気密高断熱な注文住宅メーカー一条工務店と契約してから得た、家づくりのノウハウを発信しています
性能面は理系の夫が
間取り・デザイン面は妻が中心に日々勉強しています
Instagramでは視覚的にわかりやすく
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