【さらぽか開発ストーリー】を勝手に想像して良し悪しを考察してみた
勝手に想像したさらぽか開発ストーリー
※このストーリーはあくまで筆者の想像です。エンタメとしてお楽しみください
部:部長
社:社員
ある日の技術部の会話
部:
わが社の全館床暖房システムはなかなか好評だな
社:
はい、単純に快適なだけでなく、数あるハウスメーカーから一条を選択する理由にもなってくれてるみたいですしね
部:
冬の暖房についてはこれで当分他社と差別化できそうだが、次は夏の冷房をなんとかしないとな。全館冷房システムというのも出てきているみたいだしな
社:
そうですね、ただその全館冷房システムを取り入れるには、大抵の場合専用の空調機や天井裏のダクトが必要なんですよ。他のメーカーは冷暖房を同じ空調機で共用したりすればコストダウンできたりしそうですが、自社が冷房のためだけにこのシステムを導入するのは結構なコストアップになってしまうでしょうね。
部:
なるほど、となると我が社が全館冷房をやるためには、独自に開発する必要があるかもな。そういえば、全館床暖房に使ってる室外機はRAYエアコンとかの冷房用にも使えるんだろ?それで床を冷やせば全館冷房としてOKだったりしないか?
社:
それができたら、設備面のコストアップはゼロでいけますし、試してみる価値はありそうですね。検証してみます!
部屋全体が冷やせない?!
社:
部長、全館床冷房やってみたんですが、なかなかうまくいかないです
部:
ほう、どううまくいかないんだ?
社:
確かに床を冷たくすることはできました。でも床だけが冷たい感じで、空間全体が冷えてくれないんです。
ほら、冷気は暖気と比べて下に落ちる性質あるじゃないですか。だから床の冷気が天井に向かって広がってくれないんですよ。
部:
そうか、、、なんかうまく空気を上に運ぶ仕組みがあれば嬉しいわけだな
社:
ええ。サーキュレーターとかで空気の流れを強制的に作ってやれば部屋の温度は均一になるかもしれないです
部:
わかった、ちょっとだけコストはかかるが各部屋で天井付けのサーキュレーターを取り付けても良いことにしよう。これでうまくいくか検証してもらえないか?
社:
わかりました、やってみます!
日射遮蔽が鬼門?!
社:
部長、部屋の温度はある程度均一にできることが分かりました!ただ、、
部:
どうした?何か懸念でもあるのか?
社:
実験室ではうまく温度制御できるんですが、実際の家で日射が入るとコントロールが効かなくなってくるんです
部:
日射遮蔽の設計がちゃんとできてないと使えないということか。全ての設計士や施主さんにそれを求めるのもなかなか難しいだろうな。こうなったら遮熱ハニカムシェードを無料とかにして、経済的側面で日射遮蔽を誘導していくか。
除湿はどうする?!
部:
さっき言ったみたいに、ハニカムで日射遮蔽ができれば、全館冷房システムの完成か?!
社:
ただ部長、除湿の方はどうします?普段はエアコンが部屋の空気を除湿してますけど、床冷房の室外機が冷やしているのは水なので、屋内の空気を除湿することができません。このままだと「エアコン冷房よりジメジメして不快だ」なんて言われちゃいますよ
部:
むむむ、せっかくの全館冷房なのに不快だったら意味ないよな。除湿するとしたら他にどんな方法がある?
社:
直接的ですが、どうしても除湿できないときはやはり除湿器を使うことですかね。今回はそれに頼るしかないような気がします。
部:
そうだな。除湿機も世の中いろんなタイプがあるらしいから、候補になりそうな除湿器を探してみてもらえるか?
(その後)
社:
部長、ダイキンがデシカントローターという良さげな除湿システムを販売しているそうですよ
部:
ほう、どういう点が良さげなんだ?
社:
除湿した後に出る水を捨てる必要がないんです。除湿機って水捨てるのがめちゃくちゃ面倒なんですけど、これならエアコンで除湿してるのと手間が変わらずに除湿できると思います。懸念点は、現状業務用の大きいやつしかないという点でして、戸建て住宅向けのちょうど良いやつがあれば消費電力も少なくなるし良いのですが
部:
よし、それ作るぞ!
社:
え?作る?わ、わかりました!
(うちの会社ってなんでも自分で作っちゃうなあ)
(その後)
部:
よ~し、小型デシカントローター完成!これで一条オリジナル全館冷房システムの完成だな!
名前はどうする?!
部:
そもそも全館床にパイプ這わせてるメーカーなんて世界のどこにもないから、きっと世界初のシステムだぞこれは。大々的にアピールしておこう。
部:
あとはこのシステムに商品名を付けるかというところだが
社:
冬の暖房については、「全館床暖房」という言葉自体が一番端的でインパクトある表現になってますよね。
でも夏について「全館床冷房」というだけでは快適なイメージがすぐに湧いてこないですね
部:
なるほど、だとすると「一つの全館空調システムで夏も冬も快適になる」みたいなメッセージが表現できれば良いんだろうな。夏はさらっと、冬はぽかぽか、、「さらぽか空調」なんてどうだ?
社:親しみやすそうな名前で良いですね!
このような紆余曲折を経て、さらぽかはこの世にリリースされたのでした
※このストーリーはあくまで筆者の想像です。エンタメとしてお楽しみください
考察
ここまで読んでくださり、ありがとうございます
仮にこのストーリーが現実だったとすると、皆さんはさらぽか空調に対してどのような印象を持ちましたか?
大変そうだけどよくここまでのシステムを作ったね!
そう称賛する考えもあるでしょう
ただ個人的には、若干もやもやするところがあります
その理由は
すべての問題が全館床暖房システムを起点に発生していて
結果的にすべての対応が対症療法に見えるからです
そもそも良いシステムとは、以下の性質を持っていると個人的に思うのですが
①自然法則をうまく利用する
②機器が少なくすむ
③広いシチュエーションに対応できる
さらぽか空調は対症療法を重ねた結果、これらと真逆の性質を持っているように見えます
①自然法則をうまく利用するとは
暖気が上に上がる、冷気が下に下がるといった空気の自然な流れなどを考慮して設計することを指し
システム全体の消費電力削減や、後述の「機器の少なさ」・「汎用性」につながる重要な性質です
さらぽか空調は、自然のままでは下にたまりがちな冷気を機械の力でかき混ぜる方式であるため
自然法則をうまく利用しているとは言い難いです
次に、②機器が少ないことの意味はそのままですが
この性質が重要な理由は
景観を乱しにくいことに加えて、不具合が起きにくくなるからです
さらぽか空調の機能部は、機械制御している箇所だけでも室外機、サーキュレーター、デシカントローターの3つあり、言い方によっては床暖房システムの3倍あると言えます
これだけ機械を多く使っていると、数年に一回どこかに不具合が出そうですし
耐用年数を超えた後の交換コストもなかなか大きくなります
最後に③広いシチュエーションに対応できる点について
さらぽか空調は遮熱ハニカムシェードを活用することで、夏でもなんとか動作するように設計されていますが
単純にもう少し冷房能力に余裕が欲しいですよね
世の中の全館空調システムは、もう少し汎用的なシチュエーションに対応できるものだと思います
(一条工務店より断熱意識の低いメーカーでも積極的に採用されているわけですから)
まとめると
一条工務店は、冬の全館床暖房という特殊設備によって他社との差別化を極めており
逆に言うとそれにこだわっている結果
夏は少々いびつなシステムで冷房せざるを得ない状況になっていると言えます
これにより、さらぽか空調は他社の王道な全館冷房システムと比べると制約の多いシステムになっているわけですが
扉を閉めて生活するスタイルのご家庭にとってはエアコン冷房より快適に暮らせることもまた確かです
皆さんがご自身の価値観や生活スタイルに応じて
後悔のない最適な空調方式を選択できることを願っています
我々は「家の勉強は楽しい!」をモットーに
2023年に高気密高断熱な注文住宅メーカー一条工務店と契約してから得た、家づくりのノウハウを発信しています
性能面は理系の夫が
間取り・デザイン面は妻が中心に日々勉強しています
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