久保選手の怒りとソシエダの状況
以下、敬称略
久保がエスパニョール戦でゴールを決めた。
およそ6か月ぶりのゴールだったらしい。
しかし、それより話題になっているのはゴール後のパフォーマンス。
喜んで近づく味方を振り払って何かに怒っている表情である。
先発からはずされた怒りだとか、パスがこないことの怒りだとか意見があるが、個人的には後者だと思う。
今回に限った話ではないが、久保は試合中かなりのマークを受けながらも、タイミングよくマークをはずしたり縦に抜け出そうとしたりしてパスを要求するシーンがよく見られる。しかし、そこにパスが来ることはまずない。
ほとんどのパスは右SBのトラオレからのもので、それによってできることは右のサイドを縦に突破するか、中央に切れ込んでシュートか逆サイドに展開ということがほとんどになっていて(それができるだけでも十分スゴイ)、連携に関してはほぼ皆無と言える。
今回のゴールもその例にもれることなくトラオレからのパス、そしてトラオレのデコイランからの久保の単独突破。
正直、昨シーズンのソシエダで個人的に評価しているのは久保とトラオレ、それからゴールキーパーのレミロの3選手である。スビメンディに関してはよく見ていないのでよくわからない。
メンデスは右サイドにパスをするときは躊躇するような感じが見受けらるし、今シーズン移籍したメリーノは右にパスを出すことがない。右の久保はマークが厳しいので出しづらいというのもあるかもしれないが、久保が要求したタイミングでパスを入れることができればいろいろと展開できる。しかし、それをできないのかやらないのか、久保もボールがこなければできることは少ない。
さて、昨シーズン序盤に好調で結果を出していた久保が終盤にかけて調子を落としたと言われている。しかし、個人的にはそうは思っていない。
これは明らかに相手チームの対策によるもので、久保を自由にさせなければソシエダに勝てる可能性があるということがわかってしまったということによるものだと思っている。
さすがに久保でも(というかトップレベルの選手でも)、自分へのパスコースを切られ、ボールが入れば必ず2枚でマークされ、突破されそうなら暴力をいとわないようなファールで止められにきたらどうにもならない。
パスでワンツーを狙って突破をしようとしてもパスが返ってこない。
久保が徹底マークされているなら、逆サイドで形を作って得点すれば久保のマークは分散されるがそれが全くなかった。
久保を右サイドに張り付かせて逆サイドのスペースを使っていたにもかかわらず、である。
久保は右サイドに張り付いてゴールから遠い位置にいるためにシュートが難しく、ならばと縦への突破からクロスをするがそれをことごとく決められない。久保の右足クロスの精度に関しては改善の余地があるとはいえ、ソシエダのレベルを考えればシュートが決まらないのは明らかに悪い。
これが昨シーズンの中盤から終盤にかけての久保の状況だったように思う。つまり、久保の調子云々の話ではないということである。
それでいて得点やアシストがないと言われてしまえば久保もたまったもんではないだろう。
そして、今シーズンの開幕戦と2戦目のエスパニョール戦。
ソシエダの状況はかなり厳しい。
正直、今までは久保のプレミアリーグ移籍に関しては否定派だったが、この状況だと、常にチャンピオンズリーグに出場するレベルのクラブに移籍するべきだと思ってしまった。
特に、あのゴールパフォーマンスをしたことで、チームでの立場が悪くならないことを願うしかない。
移籍期間のデッドラインまでにどうなるか。
今後、久保が移籍せずに残った場合、ソシエダとしてはこの状況を打開できるかどうか。
気になるのはフンメルスの動向。
フンメルスは気の利いた縦パスを供給できるので、例えば、シルバがいたころのダイヤモンド型の4-4-2にしてシルバの位置、もしくは2トップの左、か4-2-3-1のトップ下に久保を置くのがいいように思う。
久保はドリブラーで右ウィングという印象が強いが、個人的にはトップ下かシャドーの選手。ワンタッチで味方と連携しながら狭いスペースでゴールを狙うのが本来のプレースタイルだと思っている。チーム状況と右ウィングでの破壊力によって今のような形になってしまっているように思う。
それで、フンメルスがいると中央に配置した久保に縦パスを付けられるので、そこからより流動的な攻撃ができるようになる。
さらにはバルサの下部組織出身のセルヒオゴメスが加入しているので、久保とは連携がとれるはず。あとはナバーロもいればと思うが、ナバーロの状況はよくわからない。
それらを踏まえて、4-4-2の場合、中盤4枚にスビメンディ、久保、セルヒオゴメス、スチッチ、2トップにベッカーとオヤルサバル。もしくは、ベッカーのところに久保をおいて、空いた中盤のポジションにバレネチェアかトゥリエンテス。
4-2-3-1の場合、中盤の底2枚がスビメンディとトゥリエンテス。3枚の中盤が久保、セルヒオゴメス、スチッチ(バレネチェア)、1トップがオヤルサバル(ベッカー)。
いろいろと考えると、フンメルスを獲得できるかどうかわからないということと、アルグアシル監督がこのようなフォーメーションや組み合わせを考える可能性はほぼないと思っているので、ソシエダはいろいろな意味でかなり難しい状況にあると言える。
まあ、あくまで個人的な意見なので上記の見解には賛否があると思うが、とにかく、久保が連携して相手を崩すプレーをし、得点とアシストを量産するのを見てみたい。
要は、ラ・マシアの頃の久保を見たいということである。