驚愕の32.5秒と美しい騎乗
2024年天皇賞秋。
ドウデュースがラスト3Fで32.5秒という驚愕の末脚を繰り出して優勝した。
多くの人はこの優勝に関して、ドウデュースの強さと武豊騎手の末脚にかけた騎乗に感服しただろうと思う。
しかし、自分はそのことはもちろんだが、それ以外の部分に注目した。
それは最後の直線の武豊騎手の姿勢の美しさである。
他の騎手は馬を追うために馬上で大きく体を動かしているのに対し、武豊騎手はほとんど静止状態であるかのようである。
特にゴール前では多くの馬が並んでいたこともあり、武豊騎手の騎乗の美しさが際立った。
最近では一時期ほどではないにせよ、いまだに馬上でのアクションが大きい騎手を「追えている」ということで評価する風潮がある。
そして、大きなアクションを「追えている」と評価する人たちからすれば、今回の武豊騎手の騎乗は全く「追えていない」ことになる。
その「追えていない」騎乗が驚愕の32.5秒を繰り出している。
個人的に、物理学的な側面から、馬上での大きなアクションは間違っていると思っている。
それを武豊騎手は示して見せたように思う。
何よりも「人馬一体」。
地球上のあらゆる物理現象の影響に逆らうことなく、より自然な動作を行うことは「美」である。
だから武豊騎手の騎乗は美しく、今回の結果をもたらしたと言えるのではないだろうか。
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