約束
「またね」って言うのは約束なんだと 君は言った
爪の先くらいの三日月が出てて
互いの頬を照らしもしない
そんな夜だった
別れ際、「バイバイ」とは言いたくなくて
いつも「またね」と手を振った
明日も明後日も永遠で、永遠が消費されていくものだなんて
知りもしなかったから
最後に会ったのはいつだったっけ
昔のことほど昨日のことのように思える
あの時、僕はなぜか「またね」と言えなくて
代わりに君が「またね」と言った
たった一度だけ
もう君の細い髪の感触も
よく言ってた口癖も
あの時の月の色も思い出せないけど
君の破った約束だけは 今もだいじに握りしめてる
君が永遠にしてしまったあの夜を こうして握りしめてる
新しい朝なんて来なくてもいいから
もう一度だけあの夜に戻れたら
そんな祈りを知らん顔の満月に捧げたって
届くわけないのにね
悪あがきだと笑ってもいいから
まだ「またね」と思わせていてよ
君のことちゃんと 忘れてあげられるまで。