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ひばり珈琲が現金主義な理由

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当店は、今時、お支払い方法が現金のみです。

精算時、
「PayPay使えますか?」
「カードいけますか?」

とよく聞かれます。

「すんません!現金のみです」

謝ると、

一瞬フリーズして
「近くにATMありますか?」

と言って、おろしてきてくださるお客様もいらっしゃいます。

そういう時は、

「いつでも通りかかった時でいいですけれど〜つけときますから」

常連様、一見さま、隔てなくお声がけしますが

たいてい、都合つけてその日中に、
お金を持ってきてくださいます。

申し訳ないなぁ、
その気持ちは、あるんです。

あるんですけれど、
今のところ、

現金のみの対応、を信条としています。


理由は大きく分けて三つあります。


1つ。

簡単に、身も蓋もなく内情を晒しまして、
手数料がバカにならない、という点。

クレジットカードの手数料、
使う側(私も公共料金の支払いや少し大きな家電製品など
買い物した時はやむなく使います)は案外意識しないのだけど

店側(使っていただく側)のクレジット会社へ払う手数料が

売り上げ代金の5%も取られるのです。

そりゃ、ピッとやっただけで、
小銭を探す手間もなく、
店側もお客様側もスムーズなお取り引きができる、

そのシステムやこちら側じゃわからないクレジット会社側の
リスクや事務手数料を考えれば当然の対価かもしれません。

だけど、550円の珈琲を売っていて、
その5%を取られると、正直、痛い。

27.5円、この金額がボディブローのように
響きます。

消費税が上がったから、消費税分上乗せします、
なら、少し思うところはあっても

まあ、しょうがないか、
で、納得しますが、

クレジットカード導入しましたので、
カードでお支払いの方は、一杯当たり27.5円頂戴します、

なんて言えません。

PayPayもなんやかんや言って、このさき手数料上がるんちゃうか?
と、懐疑的なので導入を避けています。


そして現金主義を貫く2つ目。

これが一番大事なのですが、
お金をもらう実感、はやはり現金ならではのものだからです。

たとえば買い物をして
カードで買ったりすると、うっかり八兵衛の私は
すぐに買ったことを忘れ、
財布の中身が減らない(もちろん物理的には減るんだけど)ことを
いいことに気が大きくなってしまいます。

お金を払った実感に乏しい、というか、
このカード一枚あれば欲しいものが手に入る、

支払いはすぐじゃなくて忘れたころにやってくる。
(ガビーん、なんじゃこりゃ、何かったん)
大抵カード明細をみて、新鮮に驚き愕然とします。

それだけ、使った実感がないのです。
実際使っているのに。

同じように、お客様からお金をいただいても、

カードやPayPay決済だと、

「ピッ」

と一瞬で終わってしまいます。

お金をいただいていることに変わりはないのだけど、
心理的なものが違ってきます。

いただいている実感が、薄い。

レジで、550円です、というと、

大抵小銭入れからジャラジャラと
小銭を探して出してくださるおじいちゃん、

一万円札でごめんね〜と言いながら
手渡してくださるおばさま、

中には、

「この間、五十円玉少ないって言ってたですよね」

と、一週間、五十円玉を貯めつづけていてくださる
神様のようなお客様。

お金をいただく、と言うことに
重みが加わるのです。

そして、必ずと言っていいほど、
支払いにかかる「間」が生まれます。

その時間を非効率的と取るか

お客様と繋がっている貴重な時間ととるか、


私は、この効率の悪いやりとりが

たまらなく好きです。


550円を10円玉でいただくこともあります。

結構な重さです。

この重さが、
一杯の重みが

妥協した商品を提供してはならない、

心地よい時間を提供できる店であり続けたい、

と言う、いい意味での

心の重しとなっています。


さて3つ目。

単に、不安なんです。
キャッシュレス、と言う言葉、そのものも嫌い、
店主のへそまがり気質ですね。

もし、電気が通らなくなったら

停電、自然災害、システムトラブル、

そんな時、頼りになるのは、
現金です。

難しいことは分かりませんが、

携帯一つで事足りる世の中ということは

携帯がなければ何もできない世の中、

なのではないか、

と。

たとえスマホを忘れても
たとえばスマホを解約しても

きちんと生活できるように、
もしもの時に困らないように、

目に見えるものしか信じない、

アナログ人間だからなんでしょう。

40年近くこれできたのだから
国のデジタル化、キャッシュレスの流れの中で
逆らえるところまで逆らってみても
面白いじゃないかと思っています。

ってことで
当店は今のところ

現金主義のまま突っ走ります。

ご不便をおかけしますが、
店主のわがまま、ご理解のほどよろしくお願いします。

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