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新しい技術が何をよくするのか

noteから連続投稿期間が過ぎると言われたので(日記が続けられない人間なので助かる)、最近思っている適当なことを書く。


稟議における嘘

新技術やサービスを導入するような稟議において、エンジニアが楽をして「導入する技術が業務を楽にする」というロジックを選んでしまう場合があると思う。稟議チェックが甘い職場では、何でもかんでもこれで通そうとする人を何度もみた。

実際にそうであれば別に良いのだが、嘘であるケースが多々あると思う。その無理解は業務担当者から「また新しい技術入れて大変になった!」と思われてしまうことを引き起こす。

個人の主観として、そうそう業務が楽になったりなどしない。新しい技術を入れても別のタスクが増えるだけだし。それ以外にもいろいろな仕事があるし。"嘘"というとちょっと強すぎるかもしれないが、少なくとも説明として正確でないために歪みを起こす。

Ansibleの中の人の回答例

Ansibleという構成管理ツールがある。たぶんForumだったかの回答を興味深く読んだことがある。以下、うろ覚え要約であることに留意ください。

Q. Ansibleを導入するとインフラ運用が楽になるって聞いたので導入したんですが、いろいろ覚えなきゃいけないし、管理しないといけない対象が増えた感じがするし、全然楽になってないんですけど。

A. Ansibleを使うことで、本来管理すべきなのにうまくできていなかったインフラの状態が一元管理できるようになります。より安全に変更でき、より高度な問題を考えられるようになる。それがAnsibleのメリットです。

Forumかどこか忘れた(うろ覚え要約)

質問者の気持ちはわかる。構成管理を入れるとその管理コストの高さに悩む。さくっと設定変更できていたものができなくなった感じがする。

それに対しAnsibleの中の人は、楽をするためではなく品質を上げるためのツールだということを述べている。インフラの耐障害性・変更容易性などを向上すれば、ユーザへより安全により早く価値を提供することができるようになる。

稟議に立ち返ると

誰もが品質が重要とはわかる。しかしビジネスレイヤと(あるいは現場担当者と)品質について協調できる言葉をつくることは容易ではない。日頃から品質を定義したり数値に落としたり、顧客の要求や行動原理を理解しようとする必要がある。

その品質のフレームワークづくり自体がエンジニアの責務であると考えている。それをさぼれば、業務担当者にもビジネスレイヤにもその技術が提供している本当の価値が伝わっていない状態が横行する。

組織のケイパビリティ

業務改善においては、組織の資産に目を向けたい。この話題においては組織の能力=ケイパビリティと表現してもよいだろう。品質はそのひとつ。

新しいIT技術は組織のケイパビリティを高める。というか、ケイパビリティを高めるように導入しなくては意味がない。よって稟議においてはその技術が組織のケイパビリティを必要な分だけ高めることを説明しなくてはならない。繰り返しだが、そのためにはその組織、サービス、システムに求められているケイパビリティの情報が必要になる。

こういうことを怠ると、現場レベルでは「いくら頑張っても何も楽にならない」みたいな闇を生み出す。組織の現在のケイパビリティと、必要とされるケイパビリティに日頃から目を向けられる/情報収集する枠組みを構築する必要があるだろう(まあ、とないいつつ難しくて絶賛困っているのだが)。

余談

たぶんこの話でいう”楽”、個人の仕事量が多すぎる類の問題は業務改善と関係ないと捉えた方が健全なのでは、と思う。

「業務改善がもっと進んだら楽になってくるよ!」みたいな甘言に騙されてはいけないのでは。進行管理や品質管理などに問題提起していった方が良いと思う。つまりぶっちゃけ管理層の問題かと思うのでそこに向き合ったほうがよさそう。


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