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Notionスプリントプランニングテンプレートによるスクラム開発の知見

半年ほどNotionのスプリントプランニングテンプレートを利用している。それなりに安定してきたと思うので知見を共有する。いまスクラムツールを検討している方にとって有用であることを願う。

ただし多種のスクラムツールを実用したことはないため、特に比較の観点で想像を多く含むことはご理解頂きたい。


選定理由

既にNotionを有償利用していたので、というのが正直なところ。

むろん有償スクラムツールを採用する方が学習・導入コストが低いことは予想されたが、コスト観点からNotionテンプレートも触ってみた。おおよそ機能は抑えていそうであるため、一旦試してみることとした。

機能

公式ドキュメント参照だが、だいたい以下あたり。

  • スプリント・プロジェクト・タスクデータベース

  • カンバンボード・スプリントプランニングビュー with タスクデータベース

  • スプリント期間でのオートメーション処理(現在スプリントの切替)

  • GitHub PR連携:リンクとステータスの連携(PRタイトルにNotionのタスクID名を記載することで自動連携)

良いところ

無償みたいなもの

Notionのテンプレート利用は無償。GitHub PR連携も無償。

Notion自体の課金体系の面でも、無償でかなりの範囲が利用できる。少なくとも既にNotionを有償活用している状況では、無償でスクラムツールが使える感覚だった。

後段でカスタマイズの話をしているものの、さくっとテンプレート追加してGitHub PR連携するだけで通り一遍の機能が揃っているとは思う。

Notionへの情報集約

スクラムツールがNotion上にあると、プロダクト管理・問題管理・開発進捗管理・設計ドキュメントなどを物理的に近い空間で扱うことができる。

本当にすべてをGitHub的なところでバージョン管理できるなら越したことはないのだが、現実的なプロダクト運用はそうもいかないことが多いと思う。NotionやWiki等のツールでチームポータル機能を用意し、ドキュメンテーションを整備し、企画・開発・運用・営業などのレイヤを結びつける/遠ざけないようにする工夫が必要だろう。

企画は企画、開発は開発だけ考えていればよい、みたいになるのを構造的に防ぎたい。むろんそれは外部ツールであっても構わないのだが、近いには越したことがない。Notion同士であれば参照や引用を便利に扱う機能もあり、情報の紐づけはしやすい。

ワークフローに応じたカスタマイズ

あくまでNotionのデータベース機能などを駆使したテンプレートであるため、Notionのノーコードツール的な機能を駆使することでさまざまなカスタマイズをすることができる。

一般のスクラムツールであれば統一的なワークフローを提供しており、わかりやすく覚えやすいだろう。裏を返せばシンプルなワークフローを重視してカスタマイズ性が高くはないはずだ。

たとえば問い合わせにまつわるカスタマーサポートのワークフローに沿わせるようにしたい。タスクデータベースからラベルに基づいて問い合わせ関連タスクの専用ビューを切り出す。別の問題管理データベースと紐づけてフィルタリングできるようにする。カスタマーサポートのワークフローに沿った個別のオートメーションを設定する。これらのタスクデータベースはもともとスプリント管理と紐づいているので、カスタマーサポートから上がってきたタスクをそのままスプリントプランニングに乗せていける。

まあそこまで複雑でなくても、ワークフローに沿った任意の情報だけ集めたビューを作れるだけで結構便利と感じる。特にスタートアップなどの職掌混交チームのような状況、あるいはそういう組織であることを志向する場合において便利であろう。

困ったところ

高すぎる自由度

先の反転である。これはスプリントプランニングテンプレートがどうこうというより、そもそもNotionの自由度が高すぎる側面だと思う。

ぼく自身はNotionのこういうところよくできていて好きなのだが、しかしそれなりに設計スキルが求められる感は否めない。ビューや連携などの機能を活用せずに適当にカスタマイズすると、非正規化(多すぎるカラム)、履歴消失などの典型的なデータベースアンチパターンに遭遇する。

学習コスト

テンプレートもデータベース機能などをもとに作られているため、一利用者としてすらNotionの機能を一定理解していないと難しい面がある。

特に非エンジニアだとその影響は大きい。データベース-ビューの関係がうまく伝わっておらず誤って変更してしまうなど。そのことを意識した設計やルールづくりが必要なことは否めず、つまりそうした設計・推進できる管理者が必要な側面がある。

まとめ

既にNotionを活用している場合、追加コストなしでスクラムツールが持つべき基本的な機能を扱えることは一考に値するはずだ。一方で(当然だが)Notionの仕様に従うことに注意が必要と思う。

自身はあまりNotionに詳しくないまま始めてしまったので、テンプレート自体というよりNotionのコツを掴むことに手間取った印象を持っている。そのあたり既にNotionを駆使している方にとってはもっとコスト低く始めやすいだろうと思う。

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