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とりあえず「aiko?あ〜、いいよね、カブトムシ!」って言っとけばいいと思ってるなら今すぐやめろ

初対面の人間と会う機会が多い。特に、初対面の男性と会う機会が多い。

そして初対面の男性というものは、会話に詰まると「なに?普段は音楽とか聞くわけ?」とまわりくどい質問をしてくるのが世の常である。
最初から"好きなアーティスト"というトークテーマで「俺、EXILE好きなんだよね〜」と言ってくれれば、こちらも「ああ、キスをする度に目を閉じてるのは明日を見たくないからなんですよね?わたしもそういう時あります」と答えられる。

最も汎用的なアーティストを想定した時に出てきたのが彼らなので、時代は既にジェイソールブラザーズだとかなんとか、そんな指摘は知らん。

大体、1代目と2代目はどこへ行ったんだ?わたしはカラオケで周りの人間が「OOH!SAY!」と謎の地団駄ダンスを始めたら、一人で持ち場に座りながらカニのことを考えることにしている。

とにかく、会話に詰まって適当な質問をしてくるのをやめてほしい。そういうタイプの男性は「出身どこ?」と必ず問いかけてくる。「仙台です」と答えれば、「はいはい牛タンね!」と返ってくる。
言っておくが、仙台市は宮城県の県庁所在地であり、牛タンではない。そもそも仙台市民は牛タンを食べない。

ですから、いいですか。aikoもカブトムシではないのです。あなたは先ほど「好きな歌手とかいんの?」と質問してくださり、わたしは「aikoです」と答え、あなたは「あー、カブトムシね!」と続けられましたが、aikoは哺乳類ヒト科人間でありカブトムシではありません。

世間における"aiko=カブトムシ"という認知については重々承知している。その上で、赤ちゃんを見たら「カワイイ〜!」と言わなければけない慣習のようなノリでうちのカブトムシを「いいよね!」と勝手に定義するのをやめていただきたい。お前がカブトムシのなにを知っているというのだ。

数年前、サザンビーチ茅ヶ崎で行われたaikoのゲリラライブ「LOVE LIKE ALOHA」にて、aikoに入信している者とそうでない者の違いを目の当たりにしたことがあった。

このライブは入場無料ということもあり「おっ、タダなら行ってみようかな」という層も一定数訪れる。

「タン、タララン〜♪」というピアノのイントロが流れた時、そういった層からの歓声は「おお〜!」というものになる。さしずめ「(おお!カブトムシ!知ってる!)」ということなのだろう。

しかし、我々の歓声はこうだ。

「ああァ〜〜〜〜!!!!!!」

かつて松尾芭蕉は松島のあまりの絶景ぶりに「松島や ああ松島や 松島や」という句を詠んだ。

カブトムシのイントロに対する「ああ」は、おそらくこの句の「ああ」と同音同義語である。人は素晴らしすぎるものに触れると言葉を失う。もしカブトムシについて一句詠めと言われたら、「カブトムシ ああカブトムシ カブトムシ」しか行き着く先はないだろう。

真のカブトムシを知る者が「タン、タララン♪」を聞くと、膝から崩れ落ちるようにできている。それはその先にある真髄をよく理解しているからである。

カブトムシという曲の最高瞬間視聴率はもちろん「(甘い匂いに誘われたあたしは)カブトムシ〜♪」の部分だろうが、一般人はなぜその部分だけ聞いてカブトムシに満足できるのか。わたしにはさっぱりわからない。

える しってるか
あいこはむしのなかでいちばんつよいむしであるかぶとむしだけど こうらのなかはやわらかくてひとりでいきるさびしいむしだっておもって
そんなかぶとむしにこいするじょしのきもちをとうえいさせてこのきょくをかいたんだぞ なめんな

ちなみに個人的な好みでは、カブトムシの真骨頂は2番の「強い悲しいこと全部 心に残ってしまうとしたら それもあなたと過ごしたしるし そう 幸せに思えるだろう」である。

あのな、恋愛関係っていうのはな、ラブラブキャッキャウフフ期だけすくって楽しんどけば済むんじゃないんだよ。
お前はそいつと出会ってなにを学んだ?なにを得た?ちょっとフラれたからって自分だけが傷ついたような顔してるやつがいるけどなあ、なにも残らなかったとしたら今までお前はなにを見てきたんだよ!
aikoさまはそう言っておられます。

二度とわたしの前で、「へ〜aiko好きなんだ、カブトムシ歌ってよ」と口にするな。その瞬間そのおしゃべりな口にそのマイクつっこんでやろうか!

同様に、「モテそうだからって理由でカラオケでaiko歌っておけばいいと思ってる系女子」も共演NGです。
その横で「おうおう いい度胸してんな」と思いながらヘラヘラ笑ってやり過ごしてるのがわたしです。同調圧力ってこわいよね。

aikoのカブトムシのことコガネムシって言ったお前、ちょっと出てこい。


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さとうひより
原稿料代わりに・・!?