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ワルオの悪魔合体の時、よりによってガイア教特攻隊が選ばれる回

 邪教の館に入った時、ワルオが駆け出したッ!
「俺は……もっと力がほしい! 悪魔の力でもかまわん!
小澤を倒すため……いや……この世界で戦って生き残る為に俺は……悪魔と合体するぞ!」

 ヨシオの静止も聞かずに、ハンドヘルドコンピュータに遠隔アクセスする邪教の館の端末を起動した……合体するつもりだ!
 1体目の悪魔を選ぶときに自身をベースにしろと言わんばかりに、悪魔合体に使う際のガラスケースに入っていった。
 …………
「…………」
 ……えっ? もしかして俺が悪魔選ばないといけないの?
 沈黙に耐えかねて邪教の館の主の方を見ると、困惑した顔でこちらを覗いていた。ほらー困ってるじゃんかー。

 しょうがないので崩壊した金剛深界の道中で仲魔になったものの持て余していた魔獣ネコマタでも……。
「……待てッ! お前になんか選ばせやしねえぜ、俺はもっと混沌とした悪魔と合体するんだよ! オヤジぃ! カオスの悪魔と俺を合体させろ!」
 邪教の館の主がアイコンタクトをしてきたので、目線で許諾しておいた。いい加減あのケースの中は狭そうだし。

 悪魔合体に使う端末が操作され、悪魔が選ばれ始める……!
「何が選ばれると思う?」
「いやー、案外本当にネコマタだったりしませんかね。でも強い悪魔ってことで主力の悪魔が選ばれるかもしれません」
「ありそうだなー」
 その様子を雑談しながら眺めていた。既に真面目な雰囲気ではない。
 そして悪魔が選ばれた。
 これは……ガイア教徒特攻隊だッ!

「おい!?」
 ワルオが叫ぶ。どうやら納得がいってなさそうだ。いやその不満がわからなくもないが。
 しかし決定してしまったものはしょうがなく、悪魔合体は進んでいく。無慈悲。
「なるほど……カオスの悪魔を望んだので、今居る悪魔の中で最もカオスの悪魔があの特攻隊だったのでしょう」
「――――~~~~~ッ!」
 特攻隊も叫んでいた。きっと同意なのだろう。いい返事だ。
「待てッ! これは悪魔合体じゃねえだろ!? 人間だろコイツ!」
「いやぁ……合体できるなら逆説的に悪魔なんじゃないかなぁ……」
 そんな問答を経ようが経まいが、悪魔合体は最終プロセスに移行する。
「何ができるんでしょう……同種合体なので精霊になったりしますかね」
「いや、人間の同種合体で精霊はできない」
「そうなんですか? では何が?」
「外道スライム」
「あー……」
 ヨシオはかなり本気の憐れんだ目をしていた。
 中のワルオの方はと言うと、頭を抱えている。
 静かに黙とうをしてあげながら、ここにいた全員は合体が終わるのを待っていた。

「…………俺はついに力を手に入れた! もう誰にも負けない!」
 その後、無事に(無事に?)合体を成功させ、ワルオは新たな力を得ていた。
 しかし、その力を得るまでの過程については、この先誰も触れない……いや、触れられなかった。

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