年金受給者の確定申告不要制度というものがあります。国税庁のタックスアンサーでは以下のとおりの説明です。
ところが、政府広報オンラインでは、「公的年金の全部が源泉徴収の対象になる」という要件が記載されています。
「公的年金の全部が源泉徴収の対象になる」とはどういうことでしょうか。源泉徴収されていない公的年金があったら、確定申告不要制度の対象とならず、確定申告が必要なのでしょうか?
例えば、厚生年金と企業年金連合会からと2つ年金を受給しており、片方は源泉徴収税額が0といった方はたくさんおられます。2つの収入金額の合計額が400万円以下だったとして、確定申告不要と言い切ってよいのでしょうか?
年金の源泉徴収制度
年金の源泉徴収制度に関する条文を見てみましょう。
国内において公的年金の支払をする者は源泉徴収する義務があるとあります。では「公的年金の全部が源泉徴収の対象になる」という条件は意味がないかというと、海外の年金がある場合を想定しているのです。
国税庁の「質疑応答事例」に事例があります。
公的年金等の収入金額は400万円以下であり、そのうちには、源泉徴収の対象とされない外国の法令に基づく公的年金等の収入金額がある」という方に対して、源泉徴収の対象とされない公的年金等の収入がある場合には、公的年金等に係る雑所得の収入金額や公的年金等に係る雑所得以外の所得の金額基準は関係なく、確定申告が必要との回答です。
国内の公的年金で源泉徴収されていない場合は?
「国内において公的年金の支払をする者は源泉徴収する義務がある」といっても、源泉徴収税額が0だったらどうなるのでしょうか?年金受給者の確定申告不要制度の条文を見てみましょう。
「源泉徴収を要しない公的年金等」というものがあるので、それ以外が源泉徴収の対象となっていればよい、ということです。では「源泉徴収を要しない公的年金等」はというと、
と定められています。関係する政令は
65歳未満の場合の108万円の根拠です。65歳以上の場合は
158万円か80万円です。
このような金額基準で源泉徴収を要しないとされている公的年金があっても、確定申告不要制度の適用を受けられるということです。
収入金額での判断
結論として、最初に戻って、外国の法令に基づく公的年金がなければ
このタックスアンサーのとおり、金額基準だけ見ておけばよいということになります。特に源泉徴収票で源泉徴収税額が0であることを確かめなくとも、収入金額で判断すればよいでしょう。
「公的年金の全部が源泉徴収の対象になる」とはどういうことか、ならない場合はあるのか、意味は何だろう等と思って時間をかけて調べてしまいましたが、ちょっと考えすぎだったかもしれません。