事業年度初め頃の合併(被合併会社の法人税等の申告)
吸収合併の際の被合併会社の法人税等の申告
会社が吸収合併される場合(被合併会社)の場合、会社は合併により消滅します。
吸収合併されるまでの年度(最終年度)について、法人税や消費税の申告を行う必要があります。申告期限は通常の事業年度と同じ、原則として2か月以内です。
ところが、申告書提出時点ではもう会社が存在していません。どうしたらよいでしょうか。
国税と地方税の扱いの相違
申告書提出時点では、被合併会社は消滅しています。消滅した会社が申告書を提出するわけにはいきません。このため、例えばA工業株式会社(合併法人)が株式会社B産業(被合併法人)を吸収合併した場合
・A工業(株)(被合併法人 (株)B産業)
というふうな法人名で、合併法人から合併法人の納税地の税務署に対して申告します。電子申告の場合、合併法人の利用者識別番号を利用します。
これが当然と思うのですが、地方税のほうは
・eLtaxでは合併により消滅した法人(被合併法人)の利用者IDを使用
です。
以下はeLtaxウェブサイトのよくある質問の「合併により消滅した法人の電子申告や電子申請・届出はできますか。」のリンクです。
おそらく、事業所の所在する都道府県及び市町村に、どのみち申告するからでしょう。なお管理番号や法人番号といった番号が付与されていた場合、それらも合併により消滅した法人(被合併法人)のままにしてください。
申告者名は、国税同様
・A工業(株)(被合併法人 (株)B産業)
というふうにしたほうがよいです。
事業年度初め頃の合併にご注意ください
以上は最終事業年度の申告に関してですが、最終事業年度の一つ前の事業年度の申告を行う前に合併した場合はどうなるでしょうか?
先日そういう事案に遭遇しまして、7月決算9月申告の準備をしている最中の9月1日付で吸収合併された、という事案です。
「最終事業年度の一つ前の事業年度の申告」というのは検索しても出てこないのですが、結論としては上記の最終事業年度の申告と同じです。
・国税は、合併法人の利用者識別番号で申告
・地方税は、被合併法人の利用者IDで申告
・申告者名は「A工業(株)(被合併法人 (株)B産業)」
これらについては、念のため国税、岡山県、岡山市、東京都に問い合わせて確かめました。
通常はこの点に気づかないことはないだろうと思うのですが、税理士事務所が記帳代行をしている場合は別です。7月末で終わる、最終事業年度の一つ前の事業年度の決算申告に注力していて、8月からの翌事業年度(最終事業年度)のことまで意識が向かわず、合併後にもかかわらず合併に気づかずに申告をしてしまうかもしれません。ご注意ください。