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ふるさと納税(現住所の自治体にマイナス?)
ふるさと納税はすっかり定着しました。各地の様々な返礼品、選ぶところから楽しいですね。ただし「今住んでいるところの自治体の住民税が減ってしまう」と気が引ける、という方もおられるでしょう。
個人のふるさと納税では
一言で言うと「住民税の減少額の75%が国により補てんされます。」となります。
住所地の自治体にマイナスではありますが、ふるさと納税全額ではなく、住民税部分の1/4と、ごく一部になります。これは所得税の税率によるので、表にしてみました。
![](https://assets.st-note.com/img/1727770890-caDfXHY7r4nmAuyUgoRbKB2i.png?width=1200)
所得税率の高い方のほうが住民税の減少の割合は少ないので、その1/4となるとかなり低い割合になります。また、所得税率の低い方は住民税の減少の割合は高くなりますが、いわゆる限度額は多くないですから、住民税の減少額も多くはならないでしょう。あまり気にしなくてよいと思います。
ただしワンストップ特例は別です。確定申告をしなくてすむということは、ふるさと納税に係る情報が国税には行かず、所得税も減額されません。
ふるさと納税先の自治体から住所地の市区町村に情報が行って、住民税が減少するだけです。現住所の自治体のことを考えると、ワンストップ特例を使わないほうがよいでしょう。
なお詳細は、この記事の後のほうで説明します。
企業版ふるさと納税では
こちらはかなり複雑になりますが、「法人住民税と法人事業税の減少額の75%が国により補てんされます」という言い方になります。75%は個人のふるさと納税と同じです。
![](https://assets.st-note.com/img/1727828768-Emq7yuSpAxBk4wFdvbMUaHKl.png?width=1200)
寄附予定額が課税所得の1%であれば、市と県がそれぞれ7%台です。寄附予定額の課税所得に対する割合が増えると、市と県とも低下します。県のほうは事業税の控除があるので、あまり下がりません。
また、複数事業所のある企業については、分割基準によって所在地の自治体に減収額も按分されることになります。
例えば、本社が東京で事業所が岡山県倉敷市にある会社が、倉敷市の企業版ふるさと納税の「児島虎次郎記念館整備応援プロジェクト」に寄附した場合、それによる減収額は東京都、岡山県及び倉敷市が分割基準に従って負担することになります。個々の自治体ごとの減収額を考えると、寄附額に比して小さい割合になるものと思います。
なお特別法人事業税は都道府県に納付しますが国税であり、税額減少がそ都道府県の減収とはならないので、この減収割合に含めていません。次の項で説明します。
「国による補てん」の詳細(75%の補てん及び特別法人事業税)
この記事を書こうとして、「国による補てん」についてちょっと調べたのですが、非常に複雑ですね。以下は、特に気になる方以外は読まないほうがよいです。
個人のふるさと納税、企業版ふるさと納税とも、「75%の補てん」というのは「地方交付税がそれだけ増えることで、結果として75%が補てんされる」ということです。
正確な表現を目指すと「地方交付税の算定における基準財政収入額の算定対象に住民税所得割、法人住民税法人税割及び法人事業税が入っており、基準税率が標準税率の75%であることから、ふるさと納税による住民税所得割、法人住民税法人税割及び法人事業税の減少の75%だけ基準財政収入額が減少することにより、地方交付税がその分増加する」とでもなりましょうか。
企業版ふるさと納税での特別法人事業税について、都道府県への納付額は減少するものの、それがそのまま都道府県の収入の減少とはなりません。
特別法人事業税は都道府県に納付しますが国税であり、人口を基準として各都道府県に特別法人事業譲与税として交付されます。このため特別法人事業税はそれが減少しても直接は都道府県の収入減少とはならないのです。また基準財政収入額に含まれておらず、地方交付税により結果的に補てんされるということにもなりません。
地方交付税や特別法人事業税及び特別法人事業譲与税の仕組みを詳述することには力不足でもあり、複雑にすぎるのでここまでにします。