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職場つみたてNISA、え、何それ?

 「職場つみたてNISA」という単語を聞いて、「え、何それ??」と思ったので、調べてみました。
 一言で言うと、既存のNISA制度に、職場つみたてで行うための制度を追加したようなものでした。
 2014年に旧NISA制度ができて、2018年に旧つみたてNISA制度ができ、さらに2024年に新NISA制度ができる、NISA制度も変更がいろいろありましたが、その都度変更されています。

 新NISA制度については、この記事では説明しません。ふつうの新NISAと「職場つみたてNISA」の違いは何か、という観点、それと気になる点について説明します。
 「職場つみたてNISA」の概要を以下記載します。

•事業主等は、NISA取扱業者(証券会社等)との間で契約を締結し、役職員等の制度利用についての労使間契約の整備などを行います。
•役職員等は、NISA取扱業者が選定する金融商品から投資対象を選択し、定時定額で投資をします。
•NISA取扱業者は、関係法令やガイドライン等に基づき、役職員等の申込みに応じて商品の買付を行ったり、金融商品やライフプランに関する説明会、eラーニングなどをご提供し、サポートします。

日本証券業協会リーフレット「職場つみたてNISAのご案内」より

詳細は以下の日本証券業協会のサイトを参照してください。

奨励金
 一番の違いは、事業主等が「奨励金」を給付することができるという点です。ただし、給与として課税されます。これが非課税なら強力なメリットなのですが、そこまでの制度ではありません。
利便性
 給与天引き方式と口座振替方式のいずれも可能です。給与天引きのほうがより確実に投資を続けられるでしょう。また、NISA取扱事業者から、金融商品やライフプランに関する説明会などのサポートを受けられます。
 それをサポートと思わない方であれば、この点はメリットではないです。
NISAの枠
 ふつうの新NISAと別枠で「職場つみたてNISA」の枠がある、というわけではありません。
 職場つみたてNISAの金融機関と別の金融機関で既にNISA口座を開設している場合、NISA口座を移す必要があります。
自由度の高さ
 この手の制度の場合、従業員の参加割合が一定以上でないといけないとか、奨励金の上限があったりとか、何歳まで引き出せないとか、いろいろ制限があるのが普通と思います。
 「職場つみたてNISA」には、そういった制限がありません。NISA制度のうち、つみたて投資枠と成長投資枠のいずれかを対象にすることも両方を対象とすることもできます。
 また、奨励金の制度設計も、一律でもよく、拠出額によるのでも勤続年数等によるのでも可と、自由度が高いです。
 既にNISA口座を開設している従業員が、職場つみたてNISAを利用しなくても、問題はありません。また、途中売却も自由です。

 ここからは、調べる中で意外と思った点を記載します。
成長投資枠で「職場つみたてNISA」?
 なんだか混乱しますが、旧制度の一般NISAで証券会社のサービスを利用して定期買付を行うようなイメージです。
定額でないつみたても可能?
 上記ウェブサイトで「実務上の取扱い(Q&A)」を見ていて、「定額の拠出でなく、投資信託を毎月決まった口数購入する」」ということも可能とあって、驚きました。その場合は拠出額が変動することをよく周知すべしとのこと。ドルコスト平均法ではなかったの?
NISA取扱事業者は複数でもよい
 ただし、参加が見込まれる人数が少ないと、金融機関に応じてもらえないこともあるでしょう。
 金融庁は、先行事例ということで、金融庁職員向けに 2017年10月に「職場つみたてNISA」を導入し、取扱規程等を公開しています。

 その中に、金融庁が契約したNISA取扱事業者のリストがあるのですが、なんと27もあります。どの金融機関も採算が取れているのかな?と心配になります。
奨励金非課税?
 奨励金が非課税であれば強力なメリットになると書きました。この点は、令和2年の金融庁の税制改正要望に盛り込まれていました。ただし「月1000円まで、3年間の時限措置」と、要望時点で既にささやかです。
 令和2年の自民党の税制改正大綱、閣議決定された税制改正大綱とも記載はなく、要望は実現されませんでした。また、令和3年以降の金融庁税制改正要望からも消えています。

 ここからは意見です。
 以上のとおり、今までNISAに興味のなかった人が、職場に「職場つみたてNISA」が導入されたからやってみる、という場合にはよいでしょうが、既にNISA口座を開設している方には、あまりメリットはありません。
 ただし奨励金が非課税になれば全然違います。「月1000円まで、3年間の時限措置」などと言わず、もっとインパクトのある制度にしてほしいです。
 また、昨今の「新NISAでの海外インデックス投資の人気が円安原因となっている」という状況をふまえ、奨励金の非課税制度の対象を日本株投信に限るといったことも検討してはと思います。



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