ゴールデンタイム アニメ 見た


 なんも言えねぇ。

 なんも言えねぇのに、感想を書かないといけないと思った。こういう情緒を動かされるアニメはごく稀だから、生々しい言葉で綴らなければならない。お行儀よく、目次をつけて、こういうあらすじのこういうアニメでここがこう良くてこう良かった、みたいなのはいらない。シナリオ通りの感想なんかこの作品にはふさわしくない。俺はこの作品の衝動を忘れないため、noteに感情の赴くまま綴ってやる。万里は思い出した。でも俺はきっとこの初期衝動を忘れるだろう。だから、俺は文章が破綻してでも絶対生の言葉で、剥き出しの感情を書き殴ってやる。

 キャラの感想から言いたい。
 多田万里。
 お前はつまるところ精神的に弱くなった時、過去が弱点になりすぎる。俺は橋で落ちかけたもう一人の自分を落として、過去の万里と今の万里は乖離して、解決したのだと思った。一時期は香子と上手くいっていたし、全てが完璧だった。でも、やっぱり本当の意味では克服していなくて、過去の自分を受け入れることは出来なかった。過去から逃げない!と形だけ決めて、実際に過去という存在が自分の中に入ろうとして、過去の万里と今の万里が合体ーーしようとした時、やっぱりダメだった。本当の意味では受け入れられなかった。だから万里、俺は最初、万里がまた癇癪を起こした時、ふざけるなと思った。なんで、そんな都合よく精神を病んでしまうんだよと激怒した。でも受け入れられないんだ。人はそんなに劇的に強くなれない。香子が証明してくれている。香子は何度もぶつかった末、成長して、強い子になった。本当に強くなった。当たり前に、万里は向き合う回数が少なかったのかもしれない。もっともっとシナリオ通りに行かず、ぐちゃぐちゃに情緒を壊さないと、香子みたいに変わることはできなかった。でも、最後も香子が踏み出したんだと思う。もっと言えば、二次元くんが踏み出した。万里にも踏み出して欲しかったけど、二次元くんが動いた理由は、宗教合宿の時に、見捨てなかった万里がいたからだ。万里は奇しくも、大学以降の万里の貯金で乗り切ったのだ。貯金は友情だった。俺もとても分かる。俺の人生の貯金も友情しかないなと思うことが多々ある。だからとても、なんかぐさりと刺さった。愛情は感情のトレードが頻繁にあって、貸し借りだって見えないところでたくさん溜まっていく。だから貯金なんて、あるようでないのだ。でも貯金があるって勘違いしちゃうのが愛なんだ。いや恋なのか。友情の貸し借りはどうだろうか。結構珍しいことじゃないだろうか、俺はそう思う。友情の貯金は貴重で価値がある。万里のゴールデンタイム(貯金)は、たくさんあった。万里は、高校の万里ですらたくさん貯金がある。貯金がないと、同窓会であんなに万里のために人は動かない。万里はめちゃくちゃいい奴なんだと思う。だから、万里は救われるのだ。最後も、友情に救われ、愛にも救われる。強くなった香子に救われる。万里は貯金だけじゃなく、これから強さも手に入れていくのだろう。それが見たい。万里、お前はその貯金で人生を乗り切ったんだ。がんばれ。

 加賀香子。本編見ればいい。本当に強くなった。加賀香子、俺はお前が万里を振った時、俺はそのまま受け取ったけれど、香子なりに待ってたのかもしれない。香子はずっと万里に違和感を感じていて、最後の台詞でも言っていたけど、「自分のせいで万里が」なんて思っていたのかもしれない。いや!そんなことないだろお前は!お前はちゃんと振ったんだ。ギブアンドテイクなんだ、加賀香子は。私が頑張って、あなたが頑張る。それなら私はどこまででも究極に愛を与えます。加賀香子はそうだ。それを否定するつもりもない。加賀香子に、無償の愛はない。加賀香子は、あくまで結果を求めるはずだ。だから、万里が逃げることは許せないし、無償の愛はふるえない。しかし、一度香子が万里を助けるシーンもあった。何話か忘れたけど。振るちょっと前の話かな。でも、あれも今までの貯金を使って、無理して万里を励ましてくれたんだと思う。いやしかし、香子は頑張った。香子なりに最大限やってくれたんだと思う。ありがとうな香子。無償の愛をあげろだなんて言わない。それでいいんだ。それが加賀香子だよ。

 リンダ。
 リンダが言うように、言葉の本質は言葉にはなくて、感情にしかないよね。リンダが言う全部逆ってそうだろ?全部裏だよね。リンダは作中のキャラで一番強い。ずっと強い。リンダは、ずーっと嘘をつくんだ。最後に魂に「あの時はイエス」と言うまで、ずっと嘘つき。だから、絶対にやなっさんには踏み込めないんだよね。俺はわかってるよリンダ。橋の上でずっと待っているのは、本当は万里でも、過去の万里でもなく、リンダなんだよね。リンダはずっと忘れ物なんてもう、してないってフリをして、全部逆だなんてややこしいことも言って、全てを放り出して逃げてたよね。最後も「走れー!」なんて声を出して。シューズなんてあげちゃって。大好きな万里に喜んでもらいたくて買ったシューズを?違う女に向かって走る男のためにわざわざ履かせて?走れええええと叫んだ。本当に言いたかったのは、待ってなんだよね。ここでも言えないんだよね。そのあと、橋の上でやっと、イエスって言うんだよね。それまではずっと囚われてるんだよね。だって、待ってって呼び止めたら、万里は待って、全てが無に帰して、全てが終わる。たまらなく怖いのかもしれない。リンダはずるい自分や嘘つきな自分が絶対怖い。これは、兄嫁の不倫に起因する。だからリンダは絶対に、最後まで、好きと言えない。待ってと言えない。ずっとずっとずっと言えない。最後やっと、幽霊を見つけてようやく言えるような、そんな我慢強さを秘めている。幽霊に言ったって、ノーカウントじゃないか。そもそも、リンダの幽霊が万里の幽霊に言っただけだから、まあ直接言ったわけじゃないけど。直接言ったら浮気だから。浮気は無理だから。だからなんだよね、ずっとずっと待ち続けてえらいよリンダ。俺はお姉さんキャラには絶対に惹かれないと思ってた。でも俺はリンダが好き。香子も好き。岡ちゃんも好き。みんな好き。

 岡ちゃん。
 岡ちゃんは、きっと愛情に慣れていないよね。最後の最後まで、複雑な家庭事情にも関わらず、親は出てこなかった。岡ちゃんはきっと家族仲そんなに良くないよね。実はあんまり愛を知らなくて、愛が怖いはず。「無償の愛」が怖いんだ。リンダ先輩には敵対心を燃やし、香子には名前を罵倒されても仲良くしようとする。それは、香子は無償の愛を提供しないから。香子は、好きには理由があるタイプなんだ。やなっさんが最初好きだったのも、やなっさんはめちゃくちゃまともでイケメンで多分頭も良くて真面目でそのくせ不器用だからだ。すげー奴だ。そりゃあ惚れる。死ぬほどガード堅そうなこの岡ちゃんですら惚れるんだよ。そんな素敵な奴だから惚れてるわけで、幼馴染とか関係ない。そのギブアンドテイク的な愛情を、岡ちゃんは怖がらない。でも岡ちゃんは無償の愛を警戒する。リンダ先輩→万里への無償の愛や、やなっさん→岡ちゃんへの無償の愛を。だから、「バカじゃん」と突っぱねるんだ。ここは小説を読みたい。絶対岡ちゃんの心理描写はもっと書かれてると思う。でもこんな感じだろう岡ちゃん。岡ちゃんは無償の愛が怖いだけで否定しているわけではないんだよね。バカじゃんと突っぱねて、それでも無償の愛が提供され続けるのか、「ちなみ」と特別にこのイケメンは呼んでくれるのか。そういう意味で気になってた。でも、やなっさんは「無償の愛」を与える男ではなかった。ギブアンドテイクな愛だったんだ。無償の愛って、岡ちゃんの勘違い。やなっさんは、岡ちゃんのように明るくて、香子が罵倒してもそれでも仲良くしようとするコミュ力とか優しさとかそういうもの全部ひっくるめて好きになったんだ。でも、岡ちゃんは突っぱねた。突っぱねたのなら、やなっさんは岡ちゃんに矢印を向ける必要もない。この瞬間、やなっさんは実はギブアンドテイクな愛だと判明する。そして岡ちゃんはギブアンドテイクな愛を怖がらない。むしろ好きになる。こういうからくりで、やなっさんのことが好きになって、やなっさんはもう冷めているんだ。岡ちゃんその恋愛の仕方、永遠に苦しむからやめよう。岡ちゃんはもっと強くならないと。無償の愛を素直に受け取れるようになれたらいいと思う。きっと親が関係していると思うけどね。親は無償の愛はくれなかったように思う。だから慣れてないだけなんだ。岡ちゃんが幸せになる未来があんまり見えないけど、ゴキブリみたいな無償の愛をあげ続けられる人か、上手くギブアンドテイクが噛み合う人に出会えるといいね。二次元くんとかどうですかね。

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