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日記〻その表情、手の動き、礼のひとつひとつ

3日坊主でも大丈夫、3日間で区切る日記をつづける。


12月23日(月)
4時過ぎに目が覚めて、そこから何度も寝落ちしたり起きたりを繰り返して眠りが浅かった。
体の真ん中にずっと暗い影がある。
朝一で会社の人に現状を伝え、これからの働き方について相談した。お父さんの事を具体的に話したのは初めてで、ぜんぶ本当なのに嘘をついてるみたいな感覚になる。
受け入れ難い現実は、他人事のように話さないと上手く伝える事ができない。
15時45分、兄から電話。
「間に合わんかったって。」
お父さんが亡くなった。
しばらくして会社の人にもそれを伝え、ことばにしてしまったら急に涙と声が溢れた。
なんとか切り替え、自分が持っている業務を簡単に引き継ぐ。
今できる限りの仕事を細々と片付けて帰路。


12月24日(火)
静かな音楽を聴くと思考が内側にグッと入ってしまうけど、明るい音楽はもっと聴く気になれず。
どうしようと思いながらシャッフルを続け、『分離派の夏』がちょうどで繰り返し聴いた。
電車、バス、飛行機、バス、と乗り継いで、乗り物に乗りすぎてきもちがわるい。
くじけそうになった時に『101117 @El Camino de Santiago』の独白と足音に胸が熱くなる。
ちゃんと書くし、ちゃんと歩く、という追い風。
そこから礼服を買うために市内をうろついた。Safariの検索履歴が礼服という言葉でどんどん黒くなっていく。
結局大きいショッピングモールに辿り着き、手練の店員さんに相談して一式が揃った。館内は人で賑わっていて、今日がクリスマスイブだったと思い出す。
クリスマスイブに礼服を買うって、そうそうないよなぁとぼんやりしながらタクシーを待ち、汽車に乗り、21時過ぎに葬儀場に着いた。


12月25日(水)
そのまま葬儀場に泊まったのであまり眠れず、8時半とかに起きて部屋でずっと誰かが喋っている。
言葉がいろんなスピードで乱反射している感じがしてクラクラする。
昼過ぎ、二人の兄と「お焼香のやりかたがわからん。」と気がつき慌て、インターネットで調べてお父さんの前でリハーサルをした。
通夜の日にふざけてるなぁと思いつつ、こういう時に一緒になって笑えてしまうのはこの人たちしかいないと思うとありがたい。
私はこういう、人間の可笑しみが好きだ。
お通夜。
たくさんの人が手を合わせてくれて、その表情、手の動き、礼のひとつひとつがありがたい。
とても切実で、涙がでた。
今日も全然心が休まらない、でもにぎやかで助かる。


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