ぶりっこ魔女は愚か者
私の中学では3年生は文化祭でクラス劇を行うことになっていた。
いくつかの演目が学校によって用意され、クラスの代表がくじ引きで演目を決めるとか、そういった決め方だったような気がする。
私の所属するクラスはくじ引きの結果、“ジグソー”という演劇をすることになった。
細かい内容はまったく覚えていないけれど、まぁざっくり言うと、
少女AとBがジグソーパズルを完成させると、そこに描かれていた悪魔が「なんでも願いを叶えよう」と、少女らの前に現れた。そこに同業の魔女も現れて、少女たちそっちのけで悪魔と魔女がやいやいし、なんだかんだあり、どうにかこうにかして結末を迎える…
という物語だ。まったくわからん。
…とにかく、主人公の少女が2人、クラスメート役が10人ほど、そして悪魔と魔女で8人と、40人クラスに対して半分程度の人間しか役者にはなれない。
多くの人が目立ちたいお年頃ですから、自分からは言い出さないものの、虎視眈々と役どころを狙っているグループがいた。
クラスでも派手なグループだ。
幸い、空気が読めるクラスだったから、自然と派手なグループは役者に推薦され、控えめなグループが裏方になるというわかりやすい構図が生まれた。
しかし意外にも、主人公以外でメインどころになる魔女役は人気がなく、みんなクラスメート役をしたがった。
ミニスカ制服を着て可愛いと思われたいという魂胆だったのは、衣装が決まってからわかったことだ。
さて、“広く浅くみんなに好かれる“をモットーにクラスの中でもいい感じのポジションをちゃっかり取っていた私はといえば、どういう経緯だか忘れたが魔女役をやることになっていた。
ステージに立つことは嫌いではなかったし、目立って良い子ポジションをもっと広げるのも悪くないと思っていたので、抵抗はなかった。
ただ、私も派手なグループ同様、可愛いと思われたい、モテたいという思いは少なからずあったので、どうせなら可愛い衣装が着たかったなぁなどと思っていた。
魔女は黒いマントだろうなどうせ…
と思いながら魔女の細かい役を振り分ける日を迎えた。
なるほど、魔女4人にもそれぞれ性格があって、
男勝りな魔女、怖い魔女、目立たない魔女、
それから、おお…?
おしゃれ好きなぶりっこ魔女…?
やるじゃん作者。可愛くする余地、ある。
そうして決まった衣装は、ミニスカニーハイソックスと、フリル半袖にアームカバーで太ももと二の腕のダブル絶対領域を兼ね備えたものとなった。
今じゃ考えられないすごい服装である。
舞台は大成功(?)、望み通りその後の中学校生活は穏やかに、そこそこにモテながらも過ごせたの、だが…
その後も広く浅くを貫いた結果、中学卒業した後には連絡を取るような親しい友人もおらず、
大人になってから後悔するのでした。
深い付き合いは面倒なことも多いけれど、広く浅くもほどほどに。