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【ホメオスタシス】洗顔すればするほど脂ぎる。

 人間の体は実によくできている。体が冷えるとブルブル震えて温めようとする。逆に暑いと汗をかいて気化熱を奪い、体を冷やそうとする。体が傷つくと血を流し、かさぶたができて再び肉が盛り上がってくる。このように体に起こる急激な変化を察知しておかしいと判断し、元に戻そうとする作用を「ホメオスタシス」という。日本語で言えば「恒常性」だ。これがなければ人間は生きていけないのだが、ホメオスタシスは時に過剰に働くことがある。傷が治ったら、元の状態よりも肉が盛り上がったりするのがそれである。

 かかとの皮が分厚くなってしまうのもホメオスタシスが過剰に働いた結果だ。何らかの原因でかかとに強い力がかかるような運動を続けると、体はかかとの皮を分厚くして足を保護しようとする。分厚い皮がいやだからとやすりで削ったりすると、体は異常な変化を察知してさらに皮を分厚くする。

 脂ぎった顔を気にして、何度も石鹸で洗顔するのも逆効果である。皮脂は、体が皮膚を保護するために分泌するものだから、洗顔して皮脂を洗い流せば流すほど体は皮膚を守らなくてはならないと判断して、より多くの皮脂を分泌する。これもホメオスタシスの作用だ。洗顔した直後はさっぱりしても結局元よりも脂ぎった顔になっていく。だから皮脂は少し残すぐらいでちょうど良いのである。私はもう何年も体を洗うのに石鹸を使っていない。お湯で洗い流すだけだ。それでも決して不潔にはならないし、むしろ肌の調子は良い。信じられないようなら、しばらく石鹸を使わずに洗顔してみると良い。石鹸を使わない習慣は体にも環境にも良いのでお薦めしたい。

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