【ごはんとめし】この違いがわかりますか?
さて、みなさんは「ごはん」と「めし」は違うというのをご存知だろうか。「ごはん」は炊きたて熱々の白米のことをいう。冷めたり混ぜ物をしたりすると「めし」になる。保温ができなかった時代は、朝に炊き立ての「ごはん」を食べ、昼や夜に冷めた残りの「めし」を食べたのである。だからごはんが冷めると「冷やめし」となり、弁当に持たせると「にぎりめし」となる。「冷やごはん」という言い方は誤りだし、「にぎりごはん」とは言わない。
五穀米など、銀シャリ以外のものを炊いた場合も「ごはん」ではないし、ごはんに混ぜ物をしたり、何かを載せたりした場合も「ごはん」とは言わない。だから「釜めし」を「釜ごはん」とは言わないし、「麦めし」を「麦ごはん」とは言わない。丼物は「丼めし」、「炊き込みごはん」は「炊き込みめし」、「混ぜごはん」は「混ぜめし」が本来の言い方だろう。とりめし、栗めし、松茸めし、鯛めし、かやくめしなどすべて同じである。
真っ白で熱々のごはんは「御飯」であり、ほかとは一線を画すために特別な呼び方を与えられたのだと思う。江戸時代、地方では雑穀を混ぜた玄米が一般的だったから、ごはんというのは非常に贅沢な食べ物だっただろう。一方、江戸の街に暮らす人たちは、味噌やつけものをおかずにごはんを腹いっぱい食べた。1人で1日に5合ものコメを消費したそうだから相当なものだ。その代わり、江戸の街では栄養が偏り、脚気が大流行した。玄米に含まれるビタミンB1が、精米すると失われてしまうからだ。「江戸わずらい」と呼ばれたこの病は、贅沢病と言うべきものであろう。