【プロシューマ―】生産消費者になろう。自分で作ることが大切な時代。
以前、放映されたNHKの朝の連続ドラマ「ひよっこ」を楽しみに見ていた。時代は昭和30~40年代。茨城県の奥茨木村の農村に暮らす主人公の祖父(じいちゃん)は、四六時中、何かを作ったり育てたりしている。田畑を耕し、縄をない、筵を編み、薪を割り、芋を保存し、梅干しや味噌、納豆などを作る。じっとしている場面がほとんどない。昔の農村はそういう暮らしだったのかと興味深く見た。
当時の都会では急速にモノが溢れるようになり、人々は消費者になりきっていった。生活に必要なモノやサービスはすべてカネで買う。消費者と生産者が明確に分離した時代である。
じいちゃんは、身の回りのものを再利用して必要なものを得ていた。稲わらも竹もかずらも無駄にしない。衣服や靴や自転車などはカネで買うが、必要なものの多くは自分で作る。農村の人たちは生産者であり、消費者でもあった。未来学者アルビン・トフラーは著書「第三の波」で「プロシューマー」という言葉を使った。生産者を表すプロデューサーと、消費者を表すコンシューマーを合体させた造語で、日本語では「生産消費者」という。ドラマに描かれるじいちゃんのように、昔は多くの人が市場を通さずに自分や家族が使うものを生み出すプロシューマーだったが、工業化が進むにつれ、消費者と生産者が明確に分かれていった。
大量生産・大量消費で資源を食いつくす経済活動は続かない。身の回りのものを無駄なく使って必要なものを得る持続可能なプロシューマーこそがこれからの世の中に求められるのではないだろうか。少しずつでもみんながプロシューマーになっていけば世の中は大きく変わると思う。江戸時代みたいに、ゴミがほとんど出ない社会を日本人は知恵で作ることができたのだから。
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