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【プロセス】プロセスこそが楽しく価値がある。お金で人任せにするのはプロセス放棄でしかない。

 もしもある日、目が覚めるとオリンピックの金メダルを獲っていたとしたら、あなたはうれしいだろうか。私なら全然うれしくない。来る日も来る日も積み重ねてきた辛い練習と、少しずつ感じてきた成長を知っていればこそ、その金メダルは何ごとにも代えがたい価値を持つのであって、その過程(プロセス)を経験していない者には意味がない。何をするにしても、結果に至るプロセスこそが一番価値がある部分だ。結果を心から喜んだり、ありがたいと思えるのは自力でプロセスを経てきた人だけなのだから。

 大部分の現代人は、あらゆるプロセスを人任せにできることが豊かな暮らしだと思い込んでおり、それこそが人生の勝利だと信じ込まされている。そして、そのために必要なのがお金である。つまり、お金さえ払えば、汗を流すことも、面倒な手間をかけることもなく、望んだ結果を手に入れられるというわけだ。しかし前述の通り、結果だけを受け取ることで得られる喜びなど上っ面のものでしかない。

 「こうしたい」と思ったら行動するのが生き物。目指すものを手に入れるために知恵を絞り、汗を流し、試行錯誤して結果を出そうと奮闘するのである。それこそが生きているということではないか。生き物はプロセスでしか刺激や快感、成長を感じられないのである。そのことに気づかず、結果をお金で買うことに慣れ切った現代人は、何でも自分で作って暮らしていた遥か昔の祖先に比べて明らかに退化している。病気も同じ。自分に備わった免疫力で自然治癒していくプロセスを見守ろうとせず、軽い病でもすぐにお金を払って医療や薬に頼ることが本当に正しいのだろうか。信頼できる医師は「治す力は自分の中にある」と言う。

 今日一日で成し遂げたこと、使ったもの、食べたものの中で、自分の力で生み出したものがどれだけあるか考えてみてほしい。人の力を借りたとしても、自分がプロセスに関与したものはどれだけあるだろう。ほとんどないとすれば、お金に振り回されるのも無理はない。

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