インターネットと遅くつき合うために
深呼吸の必要性
不快な炎上目的の煽り記事や動画。誤った情報を流し扇動を続けるデマ。
相互フォローからフェイクニュースが流れてくる。政治的党派色の強い話が流れてくる。
ここ最近でもタイムラインに流れて来ることが少なくない。
かく言う私もちょっと前まではそんな話も他人ごとのように捉えていたが趣味のアカウントなのに偏向した意見が以前より数段フランクに目に触れることが多くなった。
ネット右翼や左翼的な言論が私自身のソーシャルメディアの趣味のアカウント上でも段々と流れてくるようになった。
一つは距離感の問題だ。
インターネットの技術革新によって人と人との距離がある種極端に近くなりすぎている。
誰もが自由にモノを言いそれを見聞きできる。
それにより新たなイノベーションの種にもなれば、激しい主張のぶつかりあいの火種にもなっている。自由で透明であるべきインターネットの場所がそうではなくなって来ている。
どう捉えればいいかと私自身が暗中模索にもなったりもした。
しかしそういう人も増えているのではないかとも思う。
肝心なのは自身の心のバランスを維持できるかどうか。
速すぎる情報の流れの中で「深呼吸」ができるかどうか。
そういうことだとも思う。
インフォデミックに立ち向かう
コロナで注意「インフォデミック」とは
「インフォデミックとは、ネットで噂やデマも含めて大量の情報が氾濫し、現実社会に影響を及ぼす現象のことです。 疫病流行の際には出所不明の情報が広がりやすく、世界保健機関(WHO)も科学的に根拠のない情報を信じないよう、公式サイトで注意を呼びかけています。」
>https://www.nikkei.com/article/DGXMZO57688620V00C20A4I10000/
日本経済新聞/2020年4月6日 7:00
デマや真偽不明の情報が拡散することは、更なる感染症の拡大を招くという研究結果がある。イギリスの国立イーストアングリア大学で感染症を専門とするポール・ハンター教授が行った感染症のシュミレーションによれば、感染症の対処法が全く広まっていない状況と正しい対処情報とデマ情報の流通が半々の状況では、いわゆる誤ったフェイク情報によって起こった感染が対処法が全く広まってない状況よりもより多く感染者を引き起こす結果となったことが伝えられている。そしてデマは本当の情報より20倍速く拡散される。
>「やばいデジタル“現実”が飲み込まれる日」講談社現代新書 より
コロナ禍においてはフェイクニュースの拡散もそれなりに責任も伴う重大なイシューでもあると思う。
もし、正しく不織布マスクがつけられていれば。ワクチンが行き届いていれば。考えるとキリがないけれども、自由にものをいい、見聞きできる状況を今のインターネットの環境が作り出したとしたら、それに対処する方法もまた私たちは見つけていかなくてはならない。
リテラシーからコンピテンシーへ
何か調べたいことがある時、あなたはどうするだろうか?googleの検索窓にまずは打ち込むだろうか?それとも人に直接聞いたりする?Twitterやなんかで誰かに聞いてみたり、その検索窓から同じ様な人や回答を探すだろうか?
情報をただ消費する側から脱却する。メディアリテラシー(情報の読み書きの技術)から今メディアコンピテンシー(メディアを主体的に使う)が必要と言われている。
デバイス環境がPCからスマートフォンに大きく偏重してより主体的に情報を咀嚼して読み解くという部分が疎かになりがちだ。PCで調べ物をするとき、一つの検索結果からでも複数の記事のタブを開いたり、wikipediaを含めニュース一つにしたって複数参照するはずだ。でも、スマートフォンになってそこまで簡単に出来るかと言ったらなかなかやらないというところが本音ではないだろうか。簡単に検索結果の上に出てきているものが答え、の様なものだ。でもそれで果たして合っているのだろうか?それでは何かに踊らされたりということではないだろうか?いくつか照らし合わせて自分で見つけた答えはどこにあるだろうか?
敵ではなく仲間を見つけるために
インターネット黎明期の時代マニアックなサイトや掲示板を覗いては、そこでの情報ややり取りを楽しんだりしていた。普段日常では話せない専門性の高過ぎる話をそこで行うためだ。
そこでは趣味の話が出来る人達がいて、その仲間を見つける手段になっていたと思う。
やはり「深呼吸」をしそこに何度も立ち返るべきなのであろう。
見つけるべきは敵ではなく仲間のために。
それでも誰かが突然割り込んできて、会話を乗っ取ろうとしたり、論争に持ち込もうとしかけてきたら。最後にこう言い放つしかない。
「あなたとは話したくはない。ここでは全く関係のない話しですから。」
参照文献
・オードリー・タン 自由への手紙(クーリエ・ジャポン編集チーム)
・やばいデジタル "現実"が飲み込まれる日 (NHKスペシャル取材班/講談社現代新書)
・ダン・ギルモア著『あなたがメディア ソーシャル新時代の情報術』を全文公開します(新聞紙学的 平和博)
・フェイクニュースに対抗する”スローニュース”とは?(新聞紙学的 平和博)
・なぜフェイクニュースはリアルニュースよりも早く広まるのか(新聞紙学的 平和博)
・デマは真実より1.7倍「RT」 MIT調査(毎日新聞記事)
・"フェイクニュース"といかに戦うか(DIAMOND ハーバード・ビジネス・レビュー論文)
・ファスト&スロー上──あなたの意思はどのように決まるか?著/ダニエル・カーネマン 訳/村井章子
・ファスト&スロー下──あなたの意思はどのように決まるか?著/ダニエル・カーネマン 訳/村井章子
・リツイート機能の生みの親、後悔を語る(BuzzFeedNews)
・遅いインターネット 濱野智史×宇野常寛 アーキテクチャから文体へ /「読む」ことから「書く」ことへ
・遅いインターネット(NewsPicks Book)著/宇野常寛